外資系企業のメールアドレス
もちろん例外もあり得ますが、日本で活躍する外資系企業のほとんどは次の2パターンです。日本法人を持つとなると多国籍企業であるため、みんな「.com」ドメインでしたが、後者のようにサブドメインとして日本法人を表す「jp」を付けるケースも見られます。
日本企業のメールアドレス
続いて日本企業のアドレスについて見てみましょう。ビジネスの大半が日本国内である企業などは「co.jp」ドメインだったりしますが、いただいた名刺のだいたい6割の方はグローバル企業と変わりません。
しかしながら、一部の日本企業は欧米ではあまり見られない表記を採用しているケースが散見されます。次の3例のような、「サブドメイン」を積極活用しているケースです。
(a)は、連結子会社などをサブドメインにする例になります。ABCテクノロジーズのドメイン「@tech.ABC-CORP.co.jp」はABCコーポレーションの関連会社であることは類推できるでしょう。
(b)は、サブドメインに2〜3文字の固定文字列を入れる例。2文字の場合、同姓同名の社員が居ても命名規則が崩れないよう、「taro.yamada@ma.ABC-CORP.co.jp」「taro.yamada@mb.ABC-CORP.co.jp」といったように、サブドメインを変えることで一意を保つという手法が見られます。3文字の場合は何らかの意味を持っていることが多いかもしれません。例えば、私が以前勤務していたとある日本企業では、正社員なのか派遣・契約社員なのかを、メールアドレスを見ただけで区別できるように、正規雇用ではない社員のメールアドレスには、それを示す3文字が付与されていました。
(c)は、完全に一人一人にランダムな文字列を使う例。ランダムにする最大の理由は他社の人間からメールアドレスを類推できないようにするためと言われています。同様の理由で、「@」より左側のユーザー名の部分についてもランダムな英数字を混ぜたり(下記のd)、英数字だけのユーザー名(同e)にすることも少なくありません。
これまでで一番驚いたのは、社外の人とコミュニケーションするためのメールアドレスは毎回変わるというものです。都度申請が必要で、30日間有効なランダム英数字のメールアドレスが発行されるというルールと聞きました。
その方の名刺にはメールアドレスは記載されていないのかと思いきや、グループアドレスが記載されていました。どうやら、グループアドレスの方は変わらず永続であり、単独で社外の人とやり取りさせたくない意図から来ているそうです。
やはりここでも日本独特の色が出てきました。次回はこのあたりの背景を考えてみたいと思います。
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション
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