急な打ち合わせだったからか、会議室が取れなかったようだ。新入社員研修用の研修室と化している大きな会議室へ、私とAさん、そして研修課の人がゾロゾロと入っていく。
研修課: 今日はありがとうございました。急にすみません。
わたし: いえいえ。ちょうどご相談したいことがありまして。
研修課: 何かありました?
わたし: 実は質問のメールが来まして、メールの内容もなのですが、iPh○neから2000文字を超えるメールが届きまして。
研修課: ちょうど良かった。実はご相談したかったことも、新入社員のメールの件なんです。
私の話はそっちのけ……? というのは置いておいて、いきなり打ち合わせの本題になった。研修課の話では、一部の新入社員から届くメールに無視できない傾向があるそうなのだ。「メールに件名がない」「あいさつもなくいきなり本文に入る」「一文がやたら短い」というようなことだ。例えば、
明日の朝礼でプリンタの使いかたを共有しようと思うんですがいいですか?
といった具合だ。件名やあいさつもなく、本文はこれだけ。私が受け取ったメールはやたら長かったけれど、こちらのメールは異様に短い。
私が勤務する会社では、セキュリティ上、件名がないメールは「原則として開かない」ことになっている。そのため、「メールには必ず件名を入れるように」と研修2日目の朝に伝えたらしいのだが、いまだに浸透していないらしい。
Aさん: 今はTwitterやLINEなど、SNSやチャットツールがメールよりもよく使われていますから、その影響もあるんでしょうね。
研修課: 確かにそうですが、だからといってこのままでは困ります。上層部でも問題視しているんです。今年の新入社員のレベルが低いのではないかとか、採用基準がどうなっているんだ、と騒ぐ役員まで出ていまして。
そのとき、私はちょうどこの会社に入社したころを思い出していた。当時の役員さんたちはPCや電子メールを毛嫌いしていて、新しいツールになじめない人も多く、部下に電子メールを印刷させて読んでいた人もいたなぁ……。その役員の一部は今でも現役で会社に残っている。この変わりようはどうなのよ。
一方で、メールのマナーがなってないからといって「レベルが低い」とレッテルを貼るのもどうだろうと思う。古くは2ちゃんねる、今はLINEを代表として、タイトルという概念がない短い文のやりとりをするツールが多数派なのは確かだ。そういう文化で育ってきた彼らは、単にメール文化を知らないだけではないか。知らないなら教えればいい。「知らない」ことを指摘し、それが悪いことであるかのように言うのは、違う気がする。
わたし: 彼らは単純に知らないだけだと思うんです。まずは知識を与え、癖をつけることから始めるしかないと思うんですが。
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