「敬語なんて必要ない!」な新人にパニック寸前?女子ヘルプデスク今昔物語 第11話(1/3 ページ)

何となく消化不良の中始まった、コミュニケーション研修の二日目。ビジネスパーソンとして基本のコミュニケーションを教えていたら、新人からの意外な質問で大慌て。一体これはどうすれば……?

» 2016年09月09日 08時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]

連載:女子ヘルプデスク今昔物語

今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修をすることになってしまったのだった……。実際に登壇してみると、いろいろなトラブルが……(エピソードは全て実話です)。若者とのジェネレーションギャップに耐えきれるのか? どうなるわたし!

 トントン……トントン……。

 何かが私の腕を”トントン”する。ああ、これはネコの前足だ……。

 トントン。

 まだ眠いのよ。もうちょっと寝てたいなぁ……と思いつつ起き上がる。見ると、枕元にネコが座っている。明らかに「私の朝ごはん、忘れたでしょ!」という恨めしそーな顔つきで。

わたし: あー朝ごはんね……。ハイハイ。

 ネコを飼った経験がない方にとっては、不思議なことに見えるかもしれないが、ネコは結構賢いのだ。私が起きたことを確認すると、ネコはベッドを降りてエサ皿の横に座った。まだ、こっちをにらんでいる。ネコの世界も食べ物の恨みは大きいらしい。私は軽い溜息をつきつつベッドを降り、彼女のエサを皿に入れる。ネコは私の顔を見上げて何かを訴えてから、優雅にエサを食べ始めた。

わたし: ネコと私の間でもコミュニケーションが成り立つのだから、会社の中の世代を超えたコミュニケーションだって成り立つと思うんだけどなぁ……。

 私が言ったことは明らかにおかしい。でも、なぜか新入社員とのコミュニケーションより、ネコとのコミュニケーションのほうがスムーズにできる気がする。それはきっと、ネコとの付き合いに年季が入っているからだろう。なにせ、昔からの付き合いだものね

photo ホント、猫は気楽よね……

 昨日のコミュニケーション研修1日目は、なんとなく消化不良で終わった。そして今日は2日目だ。夕方の上司Aさんの言葉が頭をよぎる。

 「ポイントは2つあると思うよ。1つは、立場や価値観が大きく異なる人とコミュニケーションをとらないといけない、という現実に早く慣れてもらうこと。もう1つは、大多数のビジネスパーソンが『これが正解』と思っているコミュニケーションのとり方を、彼らにマスターしてもらうことだ」

 そうよね。それをどう理解させるかがキモなのよ。押し付けないように、彼らの文化を否定しないように――まあ、とはいえ異星人とのコミュニケーションを学ぶわけじゃない。少なくとも彼らは、テレビドラマや店側スタッフの姿とかを見てきているはず。だから、ちゃんと指導すれば分かってもらえるわよね。問題はそれをどう表現するか、そしてそれを習慣化させるかなのだけど。

 そんなことを考えながら研修室に向かった。

 研修が始まって、身構えていたのはこちらだけだったかもしれないと気が付いた。基本的に彼らは素直なので、やってねって言ったことはやるのよ。社会人としてのコミュニケーションはこうだ、というものをちゃんと受け入れてくれている様子だった。なーんだ……、肩に力を入れる必要はなかったな、と思っていた矢先だった。

新入社員D: 1つ、気になっていることがあるんですけど。

わたし: ん、なに?

新入社員D: なぜ敬語を使わなければならないのでしょうか。

わたし: え……?

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