チームビルティングの研修中に突如、「リーダーに向いていない」と相談してきた新入社員。でもね、リーダーだけじゃチームは成り立たないのよ……。
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修をすることになってしまったのだった……。実際に登壇してみると、いろいろなトラブルが……(エピソードは全て実話です)。若者とのジェネレーションギャップに耐えきれるのか? どうなるわたし!
私が担当する新入社員研修、チームビルティングの研修が始まった。研修が始まって間もないころ。1人の新入社員が「自分はリーダーに向いていない」と相談してきたのだった。でも、リーダーシップを発揮するリーダーだけではチームは成立しないのよね。これをどうやって、みんなに伝えようかしら……?(前回のおはなし)
わたし: そしたら、みんなに聞くけれど、リーダーって難しいって思う?
ほとんどの新入社員の手が上がった。私に思いを投げかけてきたE君の手も上がっている。
わたし: なるほど、リーダーは難しいって感じるんだね。リーダーに必要なスキルっていろいろあるけれど、それを一言で表現すると「リーダーシップ」っていうんだよね。で、チームでリーダーにならなかった人はメンバーになる。そして、メンバーに必要なスキルのことを「メンバーシップ」っていうの。
新入社員のみんなは「へぇー」という空気。リーダーシップは聞いたことがあるけれど、メンバーシップなんて聞いたことがないという感じだ。これならいけそうね。
わたし: さて、ここで問題です。メンバーシップって、具体的にはどんな能力のことだと思う? 各チームでちょっとディスカッションしてみて。
この問いかけに、新入社員たちはびっくりしたようだ。「目からウロコ〜」って叫んでいる人もいた。あ、そうか。私自身も今気が付いたけれど、リーダーが決まるとそのリーダーのおんぶにだっこ状態。「リーダーが一番エラくてついていけばいい」的な雰囲気だったのは、各メンバーにも責任があるってことを自覚していなかったからなのかもしれない。
私が新人のころってどうだったかなぁ。リーダーにはリーダーの仕事があって、自分にもそれなりの役割があって、それをやらなくっちゃってどこかで思っていたような気がするし、リーダーも大変だから手伝わなくっちゃって自然に思っていたような気がする。それがメンバーシップだってことは後から知ったけれど(そういえば、メンバーシップって言葉自体はどこで覚えたんだろ)。
リーダーに必要なスキルばかりが目につくのは仕方がない。まあ、リーダーシップ研修があるくらいだし。でもリーダーになるには、その前にメンバーシップができてないといけない、とも思うのよ。最近はやりの言い方なら「部下力」って感じ?
勝手な推測だけど、昔は「子どもが外で遊ぶ」ことが多かったような気がする。すると、ガキ大将を頂点とした理不尽なヒエラルキーや、悪いことをしたときに無条件に怒ってくれる近所のおじさんみたいな人に遭遇してたんだろう。そんな中で、無意識のうちにメンバーシップやリーダーシップなどを学習していたような気がする。今の若い人たちは、それを学習する機会が少なくなってきているんじゃないだろうか。
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