私が担当する新入社員研修もついに最終日。チームビルティングについて教えることになったけど、そんな研修、私が新入社員のころにはなかったはず……。何で最近になって研修をすることになったんだろう。
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修をすることになってしまったのだった……。実際に登壇してみると、いろいろなトラブルが……(エピソードは全て実話です)。若者とのジェネレーションギャップに耐えきれるのか? どうなるわたし!
わたし: チームビルディングか、うーん……。
A子: どうしたの? 難しい顔して。
わたし: ああ、えーと、明日の研修内容がチームビルディングなんだけどね。
A子: チーム、びるでぃんぐぅ? 何それ? チームでビルを作って遊ぶとか?
わたし: 新入社員研修で遊ぶわけないじゃないの。A子、チームビルディングって分からない?
A子: 初めて聞くわよ。なに? チームビルディングって。
いよいよ明日は私の「なんちゃって講師」最終日、チームビルディングの研修だ。どんな内容にしようか悩んでいる私をさらに悩ませたのは、A子のこの一言。A子は「チームビルディング」という言葉を知らなかったのだ。
わたし: チームビルディングというのはね、えーと……。
あれ? 説明しようとしても、上手く言葉にならない。チームをビルディングするのよ――だめだ。これじゃ説明になってない。
何かヒントにならないかと辞書を引くと、広辞苑にも大辞泉にも「チームワーク」は載っていても「チームビルディング」が載っていなかった。えー! チームビルディングって、一般的な言葉じゃないの……?
なんちゃって講師を依頼されてから、私なりに勉強してきて、いつの間にか「チームビルディング」という言葉に違和感がなくなっている私がいた。これって喜んでいいことなのだろうか。それとも……。
わたし: チームビルディングっていうのはね、個人がチームに所属したときに、チームの一員、メンバーとしての自覚を持ってもらうことで、チームが一丸となるための、なんだろう。心構えみたいなものかな……。
A子: ふうん。で、何するの?
わたし: まあ、演習をいろいろ。
A子: 1日遊べるんだぁー。
わたし: いやいや研修だから。演習の中でいろいろ学んでほしいのよ。
A子: 何を学べるの?
わたし: そこなのよね。昔はこういう研修なかったでしょ? だから、チームビルディングがどうして必要になったのかなって。それが分かると、どんな演習が効果的か、そこから何を新入社員たちが気付けるかと悩んでたのよ。
A子: ふーん。何だかイッパシの講師らしくなってるじゃない。でも確かに、私たちが新人のときにそんな研修はなかったわ。で、今の新人たちには学ばないと分からない何かがあるってことよねー。なんだろうねー。面白いねー。でも、私には分からないぃ〜。
そう言うだけ言って、A子は自分の席に戻っていった。分からないことが出てくると考えるのを放棄するのがA子だ。よくそれで今まで生きてこられたものだよ……。
でも、いいことを言ってくれたぞ。私たちのときには、チームビルディングの研修ってのは確かになかったけど、チームというものはそのころからあったわけで。今の新入社員たちに必要なものがあるから、こういう研修ができたのよね。あまり真剣に考えたことないけど、きっとそういう視点って大事なのよ。
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