なぜ今、企業はオープンソースを活用するべきなのか?――今回は、その理由を解説します。
この記事は寺田雄一氏のブログ「オープンソースビジネス勉強会」より転載、編集しています。
なぜ今、企業はオープンソースを活用するべきなのか?――今回は、その理由を解説します。
今、「APIエコノミー」が注目されています。野村総合研究所(NRI)はAPIエコノミーの特徴の1つとして、次の点を挙げています。
APIを公開する側は、他社が利用してくれることで現在のサービス提供範囲の拡大や新規顧客の獲得ができるなど、自社ビジネスの拡大につながります。APIを利用する側も、消費者や顧客の視点に立ったアイデアを一から自分たちで開発せずとも、他社のAPIを利用することで素早くビジネスにつなげていくことができます。(「野村総合研究所(NRI)」サイトより引用)
逆にいうと、このような取り組みをしなければ、市場が求めるスピードに企業はついていけないということを示しています。
最近タイミングよく、次のような記事を見掛けました。
2016年1月にガートナーが国内のユーザー企業を対象に実施した調査の結果によれば、「OSSが必要か」という問いに対して、76.5%の企業が必要だと答えている。しかし、注目してほしいのはその理由だ。今までトップだったのは「コスト抑制/低減のため」だったが、今回は「システムの柔軟性や要件に応じて機能変更ができるため」というものに変わっている。(「ビジネス+IT」サイトより引用)
つまり、APIエコノミーが求められている理由と同じく、ビジネスに求められる「スピード」や「柔軟性」を確保するために、オープンソースが必要とされているのです。
具体的には、何でもスクラッチで開発するのではなく、既に存在するオープンソースを活用して足りない部分だけを開発したり、必要な部分だけ修正するというアプローチです。
もう1つ、企業がオープンソースを使わざるを得ない理由があります。
それは、人工知能やビッグデータなどの最新技術(を実現するためのソフトウェア)は、商用製品からではなく、オープンソースから世に出るという事実です。
従来のオープンソースは、商用製品の後追いとして登場するものがほとんどでした。例えば、商用のRDBMS(関係データベース管理システム/リレーショナルデータベースマネジメントシステム)の機能を追従する形で、MySQLやPostgreSQLが登場してきました。最初は「おもちゃ」のようなものでしたが、改良を重ねるに従い、企業のニーズを満たすまでに成長してきています。
一方、商用のRDBMSは、いつしか企業のニーズを超えて、オーバースペックになっていきます。こうして、商用RDBMSからオープンソースへとシフトする流れが生まれます。
「イノベーションのジレンマ」として説明されるシナリオです。
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