SDNで医療機器の移動も自在に、京都岡本記念病院がネットワークを刷新

院内ネットワークにSDNを導入し、エコーなどの医療機器を含む電子カルテ系システムと、インターネット接続用PCなどの情報系システムを統合。院内のレイアウトや、医療機器を移動してのネットワーク接続・利用が容易な環境を構築した。

» 2017年02月03日 08時15分 公開
[ITmedia]
京都岡本記念病院(Webサイトより)

 SCSKとNECは2月2日、京都岡本記念病院(京都府久御山町)の移転・移転に合わせてSDNの院内ネットワークを構築したと発表した。

 京都岡本記念病院は、医療設備の充実、診療科の拡大、医療スタッフの大幅増強を目的に、放射線治療センターや屋上ヘリポートなどを備えた新病院(病床数:419床)を建設。診療科の拡大や医師の増強といった強化計画と並行して建設を行ったため、どのような診療科が追加され、どの部屋にどの科が配置されるかなどが不確定であったため、新病院の要件として、建設途中にも建設後にも、経路追加や設定変更に柔軟・迅速に対応できるネットワークが求められていたという。また、24時間365日の安定稼働やセキュリティの確保も必要とされていた。

 新しい院内ネットワークは、NECの「UNIVERGE PFシリーズ」を用いたSDNで統合し、1つの物理ネットワークに、エコーなどの医療機器を含む電子カルテ系システムと、インターネット接続用PCなどの情報系システムの2つの仮想ネットワークを設定し、それぞれを論理的に分割する構成とした。これにより、ネットワーク構成をシンプルにしながらセキュリティを担保できたという。また、GUIを用いたネットワークの設定・構成の可視化も実現したとのこと。

 ネットワークの追加や設定変更をSDNコントローラーから一括して容易に行えるため、新病院の建設途中でも建設後でも、診療科の追加や院内のレイアウト変更などに迅速に対応できたという。

 さらに、エコー・内視鏡検査機といった医療機器やPCなどを、院内のどの場所でもネットワークに接続できるようにするため、有線LAN・無線LAN接続の認証にSCSKの認証アプライアンスサーバ「RADIUS GUARD」を導入。機器を院内のどこで接続してもVLANに自動的にマッピングされるようにしたという。具体的には、機器のMACアドレスや無線認証アカウントをRADIUS GUARDに登録し、有線LAN端末はMACアドレスごとのVLANを割り当て、無線LAN端末はRADIUS GUARDでSSIDごとにIEEE 802.1x認証を行い、無線コントローラーでSSIDごとのVLAN割り当てを行ったとのこと。

 同病院では、これにより、患者の状況に合わせて医療機器を院内のどの場所でもネットワーク接続できるなど、医師・スタッフ・患者の満足度や運用性の向上を図ることができたとしている。

Photo 京都岡本記念病院の新しいネットワーク構成図

なお、京都岡本記念病院は将来的に、SDNを活用した来院患者向けの無線LANサービスの開始を予定しているほか、WANの領域にまでSDNを拡大し、地域の診療所やクリニックとセキュアに患者情報を共有できる仕組みの構築を目指すとしている。

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