学生時代は単独で開発を続けていた本多さん。富士通に入社してからはプロジェクトメンバーは2人に増え、協力するエンジニアやデザイナーも含めると約10人がプロジェクトに関わっているという。
「もちろん大変なこともありますが、企業に入ることで使える資金や人的リソースも大きく増えました。ろう学校などに協力してもらう際にも、企業に勤めていることで話が通りやすい。おかげでスピード感を持って、開発を進められています。企業人としては相当自由な環境を用意してもらっていると感じています」(本多さん)
今後は、多くのろう学校などで試験導入を行いつつ、安全基準などを意識しながら製品化を目指していく。製品化の時期は未定だが、2017年度内など、なるべく早い段階で製品化にこぎつけたい考えだ。価格は“アクセサリーを買う感覚で収まる程度”を目指しているという。
「日本基準で安全性を追求すると、ともすればオーバースペックになり、開発が遅れたり、価格が上がってしまったりする可能性もあります。そのバランスをどう取るかが今後の課題です。こういうものはスピードが大事ですし、これまで多くの人の助けを得てここまで来ました。早く製品化できればと思っています」(本多さん)
触覚で聴覚を補うという斬新なアプローチから、高い評価と期待が集まるOntenna。学生時代から諦めずに開発し続け、製品化まで「あと一歩」という段階にまでたどり着いた。若きスーパークリエイターが、聴覚障害者の生活を変える日も遠くはないだろう。
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