レノボがOPSWATをパートナーとして、日本の情報セキュリティ市場に本格参入する。その強みはどこにあるのだろうか。
レノボ・ジャパン(以下、レノボ)は5月30日、同社製サーバと米OPSWATの脅威検出および防御プラットフォーム「OPSWAT Metadefender」を組み合わせた、セキュリティソリューションの販売を開始した。これは2017年1月27日に、同社の国内アライアンスプログラム「Lenovo Togetherプログラム3.0」として今春の投入が発表されていたものだ。
レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業 ソリューション営業本部 本部長 橘一徳氏は「標的型攻撃やランサムウェアによる情報流出といった脅威が話題を集め、セキュリティのニーズは日に日に高まっている。総務省でも、マイナンバーの管理システムと通常業務システム間の通信は、メールなどの無害化対策を行うよう要求事項に明記している」と背景を説明。
企業におけるセキュリティ強化が喫緊の課題となっている中で、「複数のセキュリティエンジンを利用することで既知のマルウェア対策を行い、未知のマルウェア対策としてオフィスファイルなどに埋め込まれたマクロやスクリプトを安全に取り除くデータサニタイゼーション(無害化)、そしてソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性検知といった機能を併せ持ったOPSWAT Metadefenderを、当社のx86サーバ(System xシリーズ)に搭載して販売する。ソフトウェアを含め、動作検証をした上でワンストップで提供できるのが強みだ」と橘氏は語る。
続いて、レノボ ソリューション営業本部 ソリューション&製品技術部 担当部長 レノボ・サーバー・エバンジェリスト 早川哲郎氏がOPSWAT Metadefenderのポイントを解説した。
「既知と未知のマルウェア、アプリケーションの脆弱性に対応する高度なオンプレミス・セキュリティソリューションがOPSWAT Metadefenderだ。WindowsとLinux合わせて30種類のスキャンエンジンを用意し、マルチエンジン化することでマルウェアの検出率向上と検出時間の短縮化が図れる」
さらに早川氏は「オフィスファイルを筆頭に、PDFやJPEGといったファイルに悪質なマクロを発見した場合、ファイルごと削除するのではなく、マクロやスクリプトのみを削除してファイルの内容のみを再構築することも可能だ。サンドボックスと大きく異なるのは、無害化処理をリアルタイムで素早く行える点にある。また、脆弱性検知については、米国立標準技術研究所(NIST)の共通脆弱性識別子(CVE)により250のアプリケーションと、1万5000バージョンの脆弱性を検知できる。大企業はともかく、中小企業ではセキュリティ専任の担当者がいるわけではないので、マルチエンジンや脆弱性検出などが1つのコンソールで管理できるのは運用負担軽減にも役立つ」とアピールした。
橘氏は最後に「当社は、これまでセキュリティに関するメッセージが弱いと感じていた。今後も続々と製品が拡充されるが、会社のベースはハードウェアメーカーなので、ソフトウェアを含めてワンストップで動作検証をした上でリファレンスアーキテクチャ(太鼓判シリーズ)を作って提供できるのが強みであり、ハードウェアを含めて最適な提案をできるのがレノボのバリューだ。まずは10案件の獲得が目標になる」と抱負を述べた。
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