指摘や不満が明らかになったら、次は対応だ。
だが、やみくもに対応する前に、批判の根っこを見極めておくといい。
そもそも、なぜ批判が起こるのか? 批判は大きく分けて2つの不一致によってもたらされる。「目指す姿の不一致」と「進め方の不一致」だ。どちらの不一致に根っこにあるのかによって、対応方法が異なる。
[1]「目指す姿の不一致」を解消する
例えばこんなコメントに遭遇したら、目指す姿が合っていないと考えていい。
【目指す姿が一致していないときに表れる言動】
こうした発言の裏には、「変革よりも現状の業務を回す方が大事、何でワザワザ大変なことをやらなければならないのか理解できない」という心理が見え隠れする。
なぜこうなるのかというと、実はそもそも課題認識がズレているからだ。問題だと思っていることがズレていたら、当然、目指す姿もズレる。
例えば、「見積書を作るのに1週間かかる」という事実を、「他社とのスピード競争に負けてしまい、失注につながるから問題だ」と考えるAさんもいれば、「1週間程度かかるのは問題にならない、むしろ精度の高い情報を出す方が信頼を得られるので良い」と捉えるBさんもいる。
こうなると、Aさんが「作成期間を3日に縮めよう!」と言っても、問題視してないBさんからすると、言っていることが全然理解できない。
従って、課題認識を合わせることが、目指す姿を一致させる近道になるのだ。ここが合わなければ、やりたいことは絶対に合わない。
では、どうして課題認識がズレてしまうのだろうか? それは以下の3つの前提がズレることで起こる。
この3つの前提を合わせられれば、課題認識はそろってくる。1つずつ、前提を一致させる方法を解説したいところだが、長くなってしまうので、続きは書籍を読んでいただきたい。
[2]「進め方の不一致」を解消する
課題認識が一致して、目指す姿も一致したら、残る問題は、「進め方が気に入らない」というケースへの対応である。これは、案外多い。以下のような話が出てきたら、進め方が一致していないと思っていい。
【進め方が一致していないときに表れる言動】
進め方が一致していないときの対応策は、わりとシンプルだ。基本は極力相手の意見に乗っかる、乗っかるのが難しければ、一緒に進め方を練り直すこと。
例えば「人事部に話を聞いておくべきだ」と言われたら、相手の意見に乗っかって、人事部へのヒアリングを組み込んでしまうのが理想だ。否定されたり説得されたりしただけで、意見を聞いてもらえなかったと思われたら、相手はきっと根に持つことになる。後から「やっぱり人事に聞いておいた方が良かったじゃないか!」といわれてはかなわない。
とはいえ、とうてい乗っかれない意見もあるだろう。その場合は、「それも一理ありますね。でも××の事情があって……難しいかもしれません。どうしたらいいか、一緒に進め方を考えてもらえませんか?」と巻き込んでしまえばいい。
こんなふうに、「表に出た抵抗」には、慎重に対応しないといけない。対応の仕方を間違えて、取り返しのつかないことにならないように。
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
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