「クラウド側の容量に余裕があるから」という理由だけで写真をアップロードしてみたのですが、使ってみると、意外に楽しいことが分かりました。iPhoneの撮影情報には日時だけでなく位置情報も含まれるので、写真を地図に配置して見ることもできます。もうiPhoneのリリースから10年近くたっているので、これを見れば自分の旅行の10年史が見えるかもしれません。これだけでもクラウド化して満足しています。
このような機能を考えると、旅行の思い出はスマートフォンで撮影すべきとも思ってしまいますね。
Androidなら、同じような機能をGoogleフォトで利用できます。こちらは基本的には無料で、あらかじめ設定しておけば自動でバックアップ処理をしてくれるはずです。私もしばらくはiPhoneでGoogleフォトを利用していたものの、やはりOSと密に連携しているiCloudフォトライブラリのほうが便利ですね(半面、もう、このサービスから離れられなくなるというロックイン要素は強いですが……)。
こうしたクラウドサービスの最大の利点は、“意識せずにバックアップが取れる”ということです。GoogleフォトもiCloudフォトライブラリも、充電中にWi-Fiにつながっていれば、夜間に自動でデータをクラウドにアップロードしてくれます。
iCloudは、無料プランではたった5ギガバイトしか容量がなく、そのほとんどが本体のバックアップに使われてしまうので、たくさんの写真をバックアップするには課金が必要になります。「月額130円で、画像データを失う不安から解放されるなら安い」と思った私は家族のiPhoneも課金し、写真のバックアップ設定を行いました。これで、万一、端末をなくしても写真はクラウド上にあるので安心ですし、機種変更もより簡単になります。
このところ、ランサムウェアの話題がつきることはなく、人質にとられたら困る個人データの代表格が写真です。「バックアップせよ」「復元の練習をせよ」と言い続けてきましたが、それはなかなか難しいことだとも思っています。ならば、写真撮影で活用しているスマートフォンの機能を使い、ちょっとした「課金」でバックアップ問題を解決してみるのもよいのではないでしょうか。
元ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウドPCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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