まるでWeb会議用の電話ボックス!? テレワーク難民を救う“究極の個室”とは(1/2 ページ)

防音機能付き個室「テレキューブ」を、オフィスや店舗に――。テレキューブコンソーシアムが仕掛ける「働き方改革」とは!?

» 2017年08月02日 15時45分 公開
[田中宏昌ITmedia]

テレワークにおける最大の課題とは

 2017年8月1日、「働き方改革」の推進と新たなICT社会のインフラ構築を目指し、プラチナ構想ネットワークや日本テレワーク協会が参画した「テレキューブコンソーシアム」が旗揚げをした。同コンソーシアムが目指す働き方改革と、第1弾製品として投入するコミュニケーションブース「テレキューブ」とはどのようなものなのだろうか。

photo テレキューブコンソーシアムのメンバー

 まずは19の企業でのスタートとなった同コンソーシアムだが、ブイキューブ 代表取締役社長 間下直晃氏が設立の背景を説明した。「テレワークの導入率はアメリカが85%、イギリスが38.2%であるのに対し、日本企業は11.5%にとどまる。7月24日に官民一体となってテレワーク・デイが実施されたり、政府が『2020年までに2012年度比で3倍に増やす』という目標を掲げたりしているが、働く現場ではさまざまな問題が生じており、個別の企業で解決するのが難しい課題も見られる」(間下氏)

photo ブイキューブ 代表取締役社長 間下直晃氏

 その最たるものが、「社内コミュニケーションをどうするか」という課題だ。間下氏は「働いている以上、コミュニケーションをどうするかがテレワークでの課題に挙げられる。情報共有や分業、意志決定への反映などをどうするかというのはもちろん、在宅勤務中に仕事専用の場所がなくてWeb会議がやりにくく、会社でも自分の席でWebカメラを設置して打ち合わせも周囲に迷惑がかかる。かといって、会議室でWeb会議をやろうにも会議室の空きがなくて足りない状態だ。営業などのモバイルワーカーも、喫茶店から会議に参加するわけにもいかず、サテライトオフィスやコワーキングスペースも増えたが会議室の費用が高い。思った以上に、世の中は“テレワーク難民”だらけだ」と指摘する。

photo テレワークでの課題は、話す場所の不足だという

テレワーク難民を救う「テレキューブ」

photo 外観は、まるで公衆電話ボックスのテレキューブ

 テレワークを広げる中で、話すコミュニケーションの場が不足しているという課題の解決を目指したのが、コミュニケーションブース「テレキューブ」だ。テレキューブは、ブイキューブとレノボ・ジャパン(以下、レノボ)などが共同で開発したもので、Web会議のシステムと防音性に配慮したスペースを確保したボックスで、外見は大きめの公衆電話ボックス、あるいはヤマハの防音ルーム「アビテックス マイルーム」などが想起される。

 テレキューブの大きさは、1.1(幅)×2.2(高さ)×1.1(奥行き)メートル、重量は約296キロもあるが、家具と同じように移動や設置が行える。中にはレノボ製の小型PC「ThinkCentre M710q Tiny」や液晶ディスプレイ、Webカメラの他、電源コンセントやUSB給電ポート、換気ファン、椅子と固定テーブルが用意されている。

photo ボックス内にディスプレイやカメラ、机や椅子が設置されている

 標準でテレビ会議サービス「V-CUBE ミーティング」と「Skype for Business」が導入され、H.323やSIPに準拠したテレビ会議システムの接続機能が提供済みだ。「社内でも、静かでセキュアなプライベート空間を確保できるし、外部とのコミュニケーションも会議室を占有することなく利用できる。企業内のオフィススペースやサテライトオフィス、商業施設、空港や駅などの公共施設への設置も考えている」(間下氏)

photo 机部分にレノボのPC「ThinkCentre M710q Tiny」や、電源およびUSB給電ポートが埋め込まれている

 テレキューブは、第1弾の企業向け設置モデルの出荷が10月予定(販売は8月1日から)で、第2弾の一般向けモデルが2018年上半期の投入(販売は2017年内予定)を見込んでいる。特に後者では、冷暖房の空調設備や防じん/防水機能の付与、施錠など入退室管理や電子マネーによる課金システム、監視カメラといった機能を追加する考えだ。

 価格は企業向け設置モデルが5万9800円(月額)、一般向けモデルは企業などが買い上げて設置し、時間利用などで課金することをイメージしているという。

 間下氏は「コミュニケーションブースやワークスペースだけにとどまらず、将来的にさまざまなコンテンツやサービス提供を想定している。遠隔医療や金融、保険サービスなどを提供する、インフラとして広げていきたい」と構想を語った。

photo 第1弾として投入される企業向けのテレキューブ
photo 第2弾は、2018年上半期に出荷予定の一般向けテレキューブだ
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