アメリカでは、弁護士の仕事がどんどんAIに置き換えられているということです。
弁護士といえば知的職業の代表のように思えますが、ここで置き換えられるのは「パラリーガル」という弁護士の補佐的な仕事。アメリカは判例主義なので、過去の判例を調べるという仕事がかなり大変らしいのです。これまでは、駆け出しの弁護士がその仕事を担っていたわけです。
こういうパターンマッチング的な作業は、絶対的にAIが有利ですね。アメリカではこの部分の作業がどんどんAIに置き換えられているそうです。
一方、こういった仕事は、従来は弁護士のキャリアパスでもあったわけです。誰もがいきなり敏腕弁護士になるわけではありません。いろいろな経験を積んで、成長していくわけです。そう考えると、このアメリカの状況は、弁護士のキャリアパスを根底から破壊しつつあるといえます。もしかすると、AIが教育の部分も担うことになるのかもしれませんが。
なお、日本の中央官庁の仕事もかなりの部分をAI化できる可能性があるという話もあります。法案の作成などに関する仕事のうち、かなりの部分が、過去の法律との整合性のチェックや判例の確認といった作業に費やされるということで、おそらくAI化が可能な部分でしょう。官庁間で同じスキームを使えそうに思えますし、これがAI化できると、かなりのコスト削減につながるのではないでしょうか。
つまり、どのような仕事にも、AIで代替できる部分と、そうではない部分があって、代替できるところについては、人間対AIのコスト対決になる、ということだと思います。
AIで代替できる仕事でも、コストが合わなければ、AIを適用しようとする経営者はいないでしょう。そう考えると、これからの私たちの選択肢は、以下のようなものになるのでしょう。
私は3番目が面白いのではないかと思っています。ニッチを狙う戦略ですね。もっとも、AI化がペイしない、ということで、ニッチを狙う以外の戦略もあり得るのかもしれません。
私はライカなどの昔のカメラを何台か所有していますが、その世界ではメーカーが今では面倒見てくれない(または、メーカー自体が存在しない)ようなカメラの修理をしてくれる修理屋さんは大変ありがたい存在です。しかし、この分野に何千万円もかけて参入してくる企業はないでしょう。市場規模が小さすぎて、ペイしませんから。ということは、そういった中古カメラ屋さんは(市場が今後ものすごく拡大しない限り)安泰ということになるでしょうか。
インターネットのおかげでこういったニッチなビジネスもやりやすくなっていますから、さまざまな分野で、これまで不可能だった細分化がどんどん進み、豊かな趣味の世界が形成される可能性もありますね。
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