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» 2017年12月15日 12時00分 公開

Mostly Harmless:何がどうなればAIが人間を超えたことになるのか (2/2)

[大越章司,ITmedia]
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人間はとっくの昔に機械に負けている

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 AI以外の分野では、既に人間が機械に負けていることはいくらでもあります。計算速度と正確さでは電卓に、記憶能力でHDDに、遠く遠く及びません。力においてブルドーザーには勝てませんし、走る速さでは車に勝てません。飛行機がなければ飛ぶこともできない。人間ができないことを可能にするために作ったのが機械であるという見方もできるわけです。

 現時点のAIも、数万の医学論文をベースにして診断を下すなど、特定の分野で人間の能力を超えてしまっているものが存在します。つまり個別の機能(特化型AI)においてはシンギュラリティは来てしまっているという言い方もできます。シンギュラリティは汎用AIの話だという話もありますが、そうなると「汎用とは」と、振り出しに戻ってしまいます。

シンギュラリティの定義は誤解されている

 カーツワイル氏の原著は読んでいないのですが、彼は「2045年にAIが人間の知能を超える」とは書いていないのだそうです。2045年を「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて人間よりも賢くなる年」とは言っていないのです。Wikipediaには、

一般人からはいまだに誤解されていることが多いが、2045年は「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて出現する年」あるいは「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて人間よりも賢くなる年」ではない

とあります。むしろこれで安心できないのは、「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて人間よりも賢くなる」のは、2029年と予測しているという点です。

 では、シンギュラリティは何かというと、これがまた、いろいろな人がいろいろなことを言っています。例えば、Wikipediaの記述によると、

2045年頃には、1000ドルのコンピュータの演算能力がおよそ10ペタFLOPSの人間の脳の100億倍にもなり、技術的特異点に至る知能の土台が十分に生まれているだろうと予測しており、この時期に人間の能力と社会が根底から覆り変容すると予想している

とありますが、何を言っているのかよく分かりません。他の記事では、

それまでの時系列と非連続な進化が突然起こるポイント

とありますが、これもいまひとつピンと来ません。こんな感じの記事が多いのです。

 いろいろ調べている中で腑に落ちたのが、こちらの記事のこの部分です。

人工知能が自らを改良し、人工知能が人工知能を生み出すことを可能とし、事実上、人工知能の開発が人類最後の発明となる

 つまりシンギュラリティとは、「AIが自己増殖を始めるポイント」で、その後は人間の関与なしに(想像もできないような方向へ)発展していくということのようです。これはけっこう納得できます。

 ただ、その向かう先に「人間を超える」AIがあるかどうかは分かりません(というか、基準が。そう考えると、また話は振り出しに戻ってしまいますが……)。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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