大阪事業所が自社ビルからあえてオフィス新設に踏み切った背景には、東京に2年前に設立された「IBM Client Experience Center」の成功がある。Watsonを中心としたIBMのソリューションを具体的に体験できる施設で、年間1万人が訪れる。大阪にも同様の施設を設けることで、さらにビジネスチャンスやパートナーの輪を拡げるという狙いがある。
13Fのフロアはそのための空間で、Watsonを使った最新のソリューションを体験できる。
その1つ、3方向をディスプレイに囲まれたスペースでは、Watsonを使って空間内にいる人をモニタリング分析するデモが体験できる。部屋の中心に置かれた360度カメラを使って、写った人の性別や年齢を分析。どこにどれぐらい人がいたかを色によって表示でき、展示会や店舗の動線分析などに活用できる
「TJ Bot」は、Watsonの音声アシスタント機能を利用したコミュニケーションロボットで、かわいいキャラクターにすることで対話をしやすくしている。ディスプレイでは、Watsonがどのように音声を認識してテキスト化し、対応しているかが見えるようにしている
AIディスプレイ「NOW」は、現在、テレビで放送されている話題(デモ版ではNHKを対象にしている)とTwitterなどのソーシャルネットワークへの投稿を組みあわせて頻出ワードを計測。キーワードにあわせた動画を自動で表示することで、その時々の世の中の気分を可視化するというアイデアを提案している理想に近いオフィス環境を実現しているかに見える大阪事業所だが、課題も残っている。本町にあった自社ビルに比べて敷地面積が6割ほどになり、1100人いる社員全員のスペースが確保できていないのだ。コアタイム以外の出社は制限していなかったが、それでも7割程度がオフィスに常駐していたことから、さらにフレックス体制を進める必要がある。
東京事業所では社員1万2000人のうち常時社内にいるのは4000人程度で、フリーアクセスも問題なく稼働している。光成担当部長も「オフィス環境に完成形はないと考えている。状況にあわせて改革をするためのAgile Officeであり、柔軟な対応を進めていく」としている。
時代の変化を取り入れたオフィス戦略に取り組み続けるIBMが、日本でどのような進化を見せるのか。これからの動きが気になるところだ。
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