IBM Cloudが“コスト削減とイノベーションの準備を両立できる”理由Weekly Memo(1/2 ページ)

日本IBMが2018年のクラウド事業戦略を明らかにした。筆者が注目したのは、これまでにも増して「既存システムのクラウド化」を強調したことだ。その狙いはどこにあるのか。

» 2018年02月26日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

日本IBMが2018年のクラウド事業戦略に挙げた3点とは

 「IBM Cloudは“ビジネスのためのクラウド”だ」――。日本IBMの三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長は、同社が先頃開いた2018年のクラウド事業戦略説明会で、IBMが展開するクラウドサービス「IBM Cloud」のコンセプトについてこう強調した。

Photo 会見に臨む日本IBMの三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長

 なぜ、わざわざ「ビジネスのための」と前置きしているのか。三澤氏は「クラウドとはそもそも誰のためのサービスなのか」と語り、「クラウドは当初、クラウドネイティブなスタートアップ企業に使われ始めて注目されるようになったが、ここにきて一般企業もそれぞれのビジネスに向けて利用するようになってきた。われわれはそうした一般企業にとって使いやすいクラウドを提供していきたい。“ビジネスのための”という言葉にその思いを込めた」と、同社の考え方を示した。

 そして、ビジネスのためのクラウドを提供し続けていくために、「企業個々が保持するデータの有効活用」「そのデータから知見を得るための人工知能(AI)の実装」「高度なセキュリティ」の強化に注力していくことをまず強調した。

 そのうえで、三澤氏が日本IBMにおける2018年のクラウド事業戦略として挙げたのは、「既存システムのクラウド化、クラウドネイティブなアプローチの推進」「クラウド上でAI などを活用することによって顧客のビジネス価値を高める」「ビジネスパートナーとの取り組みを強化する」の3つである。

 とりわけ、1つ目の「既存システムのクラウド化」について同氏は、「現状では一般企業の9割が既存システムにおいて旧来型デザインのアプリケーションを利用しており、ここにきてそれをそのままクラウド化する動きが本格化している。われわれはまず、この動きを全面的に支援していきたい」と力を込めた。そして、「合わせて、一般企業もこれからデジタルイノベーションに取り組んでいくためには、新たなデジタル技術を駆使したアプリケーションによるクラウドネイティブなアプローチを推進していく必要がある」とも語り、その支援にも注力する姿勢を示した。

 三澤氏によると、実はこうした取り組みこそが、IBM Cloudが選ばれる理由なのだという。それを示したのが図1である。つまり、特性の異なる2種類のアプリケーションをクラウド化できることが、IBM Cloudの最大のアドバンテージなのである。

Photo 図1 IBM Cloudが選ばれる理由
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