データ復旧企業の「ひとり情シス」、ほぼ半年で基幹システムを刷新するの巻【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(1/4 ページ)

「ひとり情シス」であるにもかかわらず、基幹システムの刷新を任され、半年でやり遂げたという情シスがいる。「営業以外は一通りやった」というほど、部署を転々とした彼は、どのようにしてこのプロジェクトを乗り切ったのだろうか。

» 2018年07月23日 08時45分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 中堅、中小企業でありがちな「ひとり情シス」。情報システム担当が1人しかいない状態を指す言葉だが、ひとりぼっちであるどころか、他部門との兼務であることも多く、多忙を極めるケースも少なくない。

 そんなひとり情シスであるにもかかわらず、基幹システムの刷新を任され、半年でやり遂げたという情シスがいる。サーバやPC、フラッシュメモリ媒体などのデータ復旧サービスを中心に、バックアップやフォレンジックなど、デジタルデータに関するトラブル解決を行う企業、デジタルデータソリューションの趙暁豪さんだ。

 影響範囲が全社に及び、トラブルが起こると事業継続が危うくなることから、責任は非常に重い。たった半年でリリースまで漕ぎつけたプロジェクトではあるが、そこにはさまざまな苦労と大きな成果があった。

photo デジタルデータソリューションの社内。データ復旧はクリーンルームで行われるケースもあるという

データ復旧エンジニア、カスタマーサポート、マーケティングを転々と

photo デジタルデータソリューション 経営管理部 情報システム専任の趙暁豪さん

 趙さんがデジタルデータソリューションに入社したのは2009年のこと。上海出身という趙さんは、大学卒業後に来日。他社で2年半ほど働いた後、同社にデータ復旧のエンジニアとして転職してきた。責任者となって約6年間が経過した後、突然、カスタマーサポート業務に異動することになった。

 「敬語には自信がなかったこともあり、最初は戸惑ったり、嫌だなと思ったりしたこともあったのですが、気持ちを切り替え、とにかくやってみようと考えるようになりました。同じことをずっと繰り返すよりは、新しいことをやりたいという気持ちが強いのだと思います」(趙さん)

 異動後はカスタマーサポートの仕事も行いつつ、エンジニアだった経験を生かし、部署の業務改善も進めていった。当時は業務システムとして、FileMakerを使っていたこともあり、その改修も行っていたという。その後はマーケティングの部署に異動。QlikViewを使った売り上げなどの集計システムを構築しつつ、兼務で情報システム部の業務も行っていたそうだ。

 ちょうどその頃、事業が拡大したこともあり、FileMakerを使った顧客管理システムが限界に差し掛かっていた。システムを構築した人間が会社を去ったこともあり、半ば“塩漬け”のような状態に。顧客からの問い合わせメールの内容をシステムに転記するなど、非効率的な作業も多く、入力忘れやミスも頻発していた。こうした手違いは、作業報告書や請求書などの送付忘れにつながってしまう。

 事態を重く見た社長も動き、顧客管理システムを刷新することを決めた。システム刷新のプロジェクトは、当時情報システムを見ていた趙さんに一任。趙さんはすぐにさまざまなベンダーに話を聞き、OracleやMicrosoftなども含め、4社ほどのソリューションを比較検討したという。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ