デジタル変革への取り組みに対し、グローバルと日本の企業のCEOにはどのような違いがあるのか。KPMGコンサルティングが、自らの調査結果をもとに解説した内容が興味深かったのでお伝えしたい。
「日本企業のCEO(最高経営責任者)はデジタル変革に対して、前向きな意識は見られるものの、行動や準備が追い付いていない」――。KPMGコンサルティングの宮原正弘社長は、同社が先ごろ開いた記者説明会で、デジタル変革への取り組みに対するグローバルと日本の企業におけるCEOの違いについてこう語った。
この説明会は、同社が2018年5月に発表した「KPMGグローバルCEO調査2018」の日本語版がこのほど完成したのを機に、宮原氏が調査結果の解説を行ったものである。調査概要のポイントは、主要11カ国のCEO1300人(うち日本のCEOは100人)が対象となっていることだ。調査結果全体の概要については発表資料を参照いただくとして、ここではその中のデジタル変革への取り組みに関する8つの調査結果を紹介しておこう。
1つ目は、自社にとって技術的破壊は脅威かチャンスか。「チャンス」と答えたのは、グローバル95%、日本91%。つまり、日本企業も他国同様、技術的破壊について前向きな姿勢を示している。
2つ目は、雇用への影響について。今後3年間に、AI(人工知能)やロボティクス技術が雇用に及ぼす影響について聞いたところ、「雇用が失われる」がグローバル38%、日本40%となる一方、「雇用が生み出される」が同様に62%、60%となった。雇用についての「生み出されるほうが大きい」との認識も変わらないようだ。
3つ目は、デジタル変革のリードタイムについて。「変革を進展させるために必要なリードタイムに苦慮している」と答えたのは、グローバル65%、日本85%となった。ここでいうリードタイムとは、宮原氏によると「回収時期」を意味する。つまり、日本はグローバルに比べて、変革実現への時間的な読みに苦慮していると見て取れる。
4つ目は、イノベーションプロセスの改善について。「今後3年間で、自社のイノベーションプロセスおよび実行を改善する必要がある」と答えたのは、グローバル35%、日本57%となった。この差は、先述したように日本企業が技術的破壊をチャンスと捉えている一方、変革への対応が十分ではないことを浮き彫りにしている。(図1)
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