古いOSやPCを使い続けるとコスト面、セキュリティ面でリスクも MS、「Windows 7」EOS対策の説得方法を指南Microsoft Focus(2/2 ページ)

» 2018年10月31日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
前のページへ 1|2       

新たな環境への移行で最新セキュリティの確保を

 なぜ、中小企業はサポート終了時期の認知率が低く、新たな環境への移行が遅れているのだろうか。

 三上本部長は、「日本の企業はデバイスを投資と考えず、コストと考える傾向が高い。そのため、『まだ使えるので使っていたい』と考えるケースが目立つ。また、クラウドサービスは難しいのではないかという誤解もある。新たな環境に移行することのメリットや重要性を知ってもらう必要がある」と指摘する。

Photo 中堅中小企業で「Office 365」などのクラウドサービスを利用されている割合は地域差があり、東京とその他の地域を比較すると、東京以外の中堅中小企業のクラウド利用は約半分だった

 訴求すべき点の一つは、移行しなければ、サポート終了とともに新たなパッチやアップデートが提供されず、最新のセキュリティ環境が維持できなくなることだ。

 「サイバー攻撃のターゲットは、大企業だけではない。いまや中小企業の46%以上が、サイバー攻撃を経験し、16%が実際に被害に遭っている。可及的速やかに解決しなくてはならない課題」と警鐘を鳴らす。

 三上本部長は、Microsoftがセキュリティに対して多くの投資を行っていることを強調する。特にWindows 10に標準装備されているウイルス対策ソフト「Windows Defender」は、法人ユーザーの50%以上で利用されており、5カ月連続で全てのマルウェアを検出したソフトとして、記録更新を続けているという。

 こうした優れたセキュリティ機能を継続的に利用するという点でも、最新の環境に移行する必要性を訴える。

4年以上使ったPCは年間34万9983円の損失に等しい

 日本マイクロソフトはもう1つ、別の角度からも、最新の環境に移行する必要性を提案している。それは、古いデバイスを使い続けることで発生するマイナス要素だ。

 日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏は、「PCの修理率は3年目には20%だが、4年目になると一気にな67%と3倍以上に跳ね上がる。また、4年以上使うと、故障したときの修理金額が1.5倍になるという調査結果が出ている」とする。

 日本企業におけるPCの更新サイクルの平均は5.4年。米国平均の4.5年、世界平均の4.3年に比べても長い。また、日本の中堅中小企業の85%超が“購入から4年以上経過したPC”を所有しているという。

Photo 日本の中堅中小企業の85%が、購入から4年以上経過したPCを所有。PCの買替サイクルは5.4年で、他国の平均よりも約1年も長いという

 この数値からも分かるように、4年以上使ったPCが故障した場合、高い修理代金を払って修理したものの、起動が遅かったり、バッテリーの持ちが悪かったりといったことも重なり、結局は買い換えを判断――といった形で多重投資になりやすいのが、日本企業の現状だという。

 「4年以上使ったPCは、起動に時間がかかったり、修理に時間がかかったりして、仕事に利用できない時間は年間129時間分に達し、生産性の損失が発生している。これをお金に換算するとPC1台当たり34万9983円の損失にもなる。これなら“最初から買い換えた方が安い”という計算も成り立つ」(梅田氏)

Photo 購入から4年以上経過したPCは、故障して修理に出す頻度や、PCの起動などにかかる時間が多くなることから、年間129時間の生産的な時間が奪われ、PC1台当たり34万9983円相当の損失があるという

 これらの調査結果から導き出されるのは、購入から4年以上経過したPCと4年未満のPCを比べると、修理する確率が3.4倍高く、2.4倍の生産性を損失することになり、損失金額を考えると、それだけで新たなPCが2台購入できるということだ。

 さらに、「優秀な人材ほど、働く環境を重視する。人材確保が難しい中、古いPCしか与えない会社からは、離職してしまうというリスクが発生する可能性も捨てきれない」と、別の課題が発生することも指摘。「最新の環境を実現するデバイスを導入することで、社員の生産性とモチベーションを上げることができ、ひいては、会社の競争力の向上につながる」と提案する。

 最新のOSやデバイスを使うことでコスト面やセキュリティ面のリスクが減らせることが分かれば、中小企業の“Windows 7やOffice 2010のサポート終了に対する意識”も変わりそうだ。

Photo 左から、日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長 梅田成二氏、「中小企業お助け隊」の公式アンバサダー 稲村亜美さん、日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長 三上智子氏
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「Windows 7」サポート終了 対策ナビ

注目のテーマ