機械学習を駆使して「健康診断を受けない人」を減らす方法(1/2 ページ)

ある自治体からの依頼を受けて、「年1回の健康診断の通知を受け取ったまま受診せずにいる人のうち、誰に受診を促せば受けてくれるのか」という問題に挑戦した分析チームがある。彼らはどうやって、この問題に答を出したのか。

» 2018年12月25日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
photo 凸版印刷 データマーケティングチームの森川東勲課長

 かつて印刷企業として創業した凸版印刷(以下、トッパン)は、今や高機能素材や電子機器の開発、企業向けのデジタルマーケティングなど、事業の多角化が進んでいる。

 特にデジタルマーケティングの領域では、珍しい依頼が舞い込むことも少なくない。森川東勲さんと山本一さんの2人がタッグを組むデータマーケティングチームは、2017年に「限られた予算の中で、健康診断を受けていない人へのリマインドの効果を最大化したい」というテーマに挑戦した。

データを使って、健康診断の受診者を増やせるのか

 各自治体には、国民健康保険に加入している40〜74歳を対象に、生活習慣病の予防を目的に年1回行われる「特定健診」という制度がある。通常は、対象者に受診券を郵送して数カ月たった時点で未受診の人にハガキを送るのだが、予算の関係で全ての未受診者にハガキを送れるわけではなかった。そのため、「ハガキを見れば受診してくれる人」に優先してハガキを送りたかったというわけだ。

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 「『受診券の発行リスト』『過去6年間の診断結果』『前年のハガキの送付者リスト』といったデータをクライアント側が提供してくれたので、自分たちでデータを収集する手間はなかったのですが、課題がないわけではありませんでした」(山本さん)

 例えば、「分析の観点から言えば、被保険者ごとのデータを採れるのが理想」(山本さん)というが、新たに健診の対象になる人の場合、過去のデータがない。過去から受信対象に入っていても、1回も受診していない人は、健診結果のデータがない。こうしたデータの“不足”を乗り越えて、2人はどう分析を行ったのか。

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