「ウチの従業員は、ITリテラシーが低過ぎて。Windows 10の変化についていけないし、パイロット運用なんて無理」
最後の相談はこちら。私自身、プロビジョニングパッケージや、それを利用した当社のサービス「Simplit プロビジョニング」を提案した際に言われた経験があります。「ウチの従業員はITリテラシーが低過ぎる」という悩みは、多くのIT部門の方々が抱えているのではないでしょうか。
プロビジョニングパッケージは、従来のクローニングのような“単なるデジタルコピー”ではないため、仕様が異なる部分も少なくありません。その最たるものは「ユーザーの設定」でしょう。
ユーザーの設定は、当然ユーザー自身が変更できるものです。例えば、スマートフォンは、「ストアからアプリケーションをダウンロードして、自分が使いやすいようにカスタマイズする」というコンセプトが特徴ですが、Windows 10もこの流れをくんでいます。そのため、「ユーザーが設定を変更できる部分については、管理者が設定する必要はない」という考え方でシステムが設計されているのです。
しかし、「ユーザーのITリテラシーが低い」と仮定してさまざまなリスクを回避しようとすると、事前に「操作手順書」を提供する必要がありますし、その操作手順書をなるべくシンプルにしようとすると、ユーザーの設定もあらかじめ変更しておきたくなるのです。
以前もお話ししましたが、Windows 10はアップデートのタイミングで仕様がころころ変わります。それはユーザーの設定も例外ではありません。「昨日まで上にあったボタンが、気付いたら下に移動していた」なんてこともザラです。ちなみに次期アップデートの「19H1」では、Cortanaと検索が分離されるとのことで、また大きく見た目が変わります。
では、こうした仕様の変更に合わせて、逐一、手順書を改変していくのでしょうか。そんな作業は無駄でしかありません。
そもそも、本当に従業員のITリテラシーは低いのでしょうか。何となく使ってみて、分からなかったらWebで検索したり、人に聞いたりして使っていくというのが、昨今のデバイスのありようで、多くの従業員はこのような形でスマートフォンやさまざまなクラウドサービスを利用しています。昔とは異なり、専門的な知識を必要としないものがほとんどです。
もちろん、サポートは必要ですが「分からない」よりも「説明がない」という本質的ではないクレームを言う人たちを相手にしてはいけません。一部の“声の大きい人”に惑わされずに、IT部門の方々にはぜひ毅然(きぜん)とした態度で、企業のDXを主導してもらいたいと思います。Windows 10への移行は、ITに対する全社の姿勢を変えるいい機会です。
今回はWindows 10の運用における疑問や悩みに対する答えをまとめましたが、既に一部でWindows 10を導入(運用)しており、これからいよいよ全社導入というタイミングの企業も多いでしょう。彼らからは、以下のようなトラブルに見舞われてしまい、「全社導入が不安」という声をよく聞きます。
読者の皆さんの中で、こうした状況に陥った方はいませんか? 次回は、これらの細かい技術に関する疑問や悩みを解決できればと思います。お楽しみに!
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