こうした活動をきっかけに、齋藤さんは2018年7月から、それまで営業部門の中で属人化していたサービスの売り方ノウハウの確立や共有といった「働き方改革」を担当することになった。そこでは、過去に自分が苦労した経験もヒントになったという。
「情報が属人化していると、その部分について知らない社員の調べ物が増えてしまい、結局残業が増えてしまいます。そのため、情報を1カ所にまとめることを意識してルールを決め、売り方そのものを共有するようにしました。結果的に、自分が入社1年目で苦労した経験がヒントになったと思います」
この他にも、齋藤さんは営業部門の社員がいつでもどこでも働き方改革のアイデアを知話輪(ちわわ)に投稿できる「ご意見箱」チャンネルを設置。70件以上集まった案から業務への影響が大きいものを選別し、実行に移すというプロセスを繰り返した。
一見、営業部門の中だけで済む改革のようだが、例えばサービスの売り方を変えるとなると、サービスの担当者や経理部門、社内のエンジニアなど、各方面に影響が出てくる。利害の衝突をできるだけ回避するため、齋藤さんは、各部門にそれぞれの立場から見たメリットを説明し、説得に時間を割いた。
「正直に言うと、つらい局面もありました。いろいろなところから違う意見を言われますし、最初は簡単にできるだろうと思えたような案件でも、複数の承認が必要だったり、さまざまな決まりを調整する必要があったりするので」
そんな中、技術を活用した情報共有が「成功の鍵になった」と、齋藤さんは語る。例えば、多忙な各部門のトップ同士が集まらないと結論が下りないような案件について話し合う場合は、事前に知話輪(ちわわ)を使って頻繁に状況を報告し、誤解や混乱を避けてスムーズに話し合いが進む環境を作ったことが、功を奏したという。
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