きっかけは“阿波踊り” 残業に苦しんだ営業女子が、全社の「働き方改革担当」になるまで【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(4/4 ページ)

» 2019年02月12日 07時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
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異業種の経験があったからこそ、社内の「変えるべきところ」に気が付いた

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 社内の業務改革を進める際、齋藤さんには、新入社員として苦労した経験以外にも役立ったことがあったという。それは、入社前に2年間、空港などで航空会社のチケットや乗客の荷物を取り扱う「グランドスタッフ」として勤務した経験だ。

 「空港では、例えば『チェックインの自動化』『手荷物預かりの自動化』といった新しい設備の導入を速いペースで進めていましたし、そうした導入プロジェクトは、専任の社員がトップダウンで進めるものでした。

 思えば、それらを見ていた当時から、効率良く仕事を進める点には興味を持っていましたね。転職してから、『ここは効率が悪いのでは』『変えるペースが遅いな』と思ったことはたくさんありました」

 そうした“外から来た人だからこそ見える課題”は、逆に社内で長く勤めた人に理解してもらいにくい場合もある。しかし齋藤さんの改革は、徐々に周囲の理解を得ていったという。

 「見積書の自動作成ツールができたとき、(営業の社員に)『ああ、これでやっと簡単に見積書が作れる』と言われたことがあって、うれしかったですね。恐らく、過去にも(社内で)決裁フローなどの課題を指摘していた社員はいるのだと思います。しかし、さまざまな理由で、その時は業務を変えるタイミングをつかめなかったのでしょう。

 そんな中、新人の私が“忙しい社員”の典型になってしまったことで、改めて業務改善の必要性に気付いてくれた社員もいたでしょうし、彼らの理解や応援があったからこそ成功したのではないでしょうか」


 2019年の1月からは、実際にこうした改革を成功させた実績が評価され、クラウドサービス「DCS」の推進を担当している齋藤さん。今後も、業務フローやサービスの売り方を改善する仕事を続けていきたいという。

 ちなみに、全てのきっかけになった阿波踊りは、その後どうなったのだろうか?

 「3年目に入ったところで、今も続けています。1年目は、練習に着いていくのがやっとでしたが、2年目から少しずつ形になってきました。今は後から入ってきた方に少し教えられるようになり、お祭りだけでなく舞台にも参加しています」

特集:Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜

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 本特集では、越境に成功したり、挑戦したりする人間にスポットを当て、彼らが歩んできたキャリアやITに対する考え方に迫っていきます。

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