茨城県庁では現在、新旧含めて約270の業務システムが稼働する。県庁では、多様なシステムでのRPAの稼働を慎重に検証しつつ、RPAの導入を進めるという。また、自動化で空いた時間を使った業務の見直しや、他部署への応援といった人員の配置を見直していきたいとしている。
「RPAの他に、役所の時間外に県民の問い合わせに対応できるチャットbotなど、職員がICTを使って楽になれるような部分で新しい技術を試し、取り入れられるものは取り入れていく方向で行きたいと考えています。役所なので予算の制約はありますが、価格がこなれていて、効果が高そうな仕組みは入れていこうと話していますね」(戸澤氏)
県民向けのサービスを集約し、多様な部署を抱える県庁では、ICTに向けて一般企業にはないニーズがあり、今後も多くの技術を検討する余地があるという。
「例えば、県では審議会の議事録を採っているのですが、2時間の会議内容を正確に起こそうとすると、ほぼ倍の時間がかかってしまうため、そこを音声認識技術で効率化できるか検討したいと考えています。また、従来通り紙で申請したい人向けには紙の仕組みを残しつつ、県民向けの申請を電子化することも検討しています。
役所は紙文化の最たるところなので、われわれも苦労する部分はあります。ただ、これから使えそうな技術については、積極的に情報収集を進めていますし、関係各庁や企業も含めて、情報交換をしています」(菊池氏)
大井川知事は、「RPAに限らず、自治体で仕事をしている普通の感覚からすると、『新しいことを最初にやる』のは結構怖いと思います。しかし、(今回の場合)RPAで行政の支援を多様化できるのであれば、非常に優位だし、今後の人手不足が予想される中、今から準備することで、いざというときに大きな影響を受けずに済むと考えています」と語っていた。茨城県のRPA活用がこれからどう展開するか、注目しつつ見守りたい。
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