AIが「対話できるキャラクター」を現実に、“大人の究極のごっこ遊び”の第一歩(3/3 ページ)

» 2019年09月11日 07時00分 公開
[唐沢正和ITmedia]
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goo botmakerの今後の可能性

 goo botmakerの今後の展開について、NTTレゾナントの河村氏は、「壽屋との共同プロジェクトを踏まえながら、本格的なサービス提供に向けて、他のクリエイターとのプロジェクト展開も進めていく予定だ。今回は企業とコラボしたが、今後は、マンガ家やイラストレーター、小説家などさまざまなクリエイターとコラボして、goo botmakerが学習するコーパスの種類やパターンを増やしていく。これによってクリエイターは、コーパスをゼロから構築する必要がなくなり、用途に応じたコーパスをAIエンジンに組み込み、それをカスタマイズすることで、迅速かつ容易にオリジナルのチャットbotを制作可能になる」と述べている。

 またNTTレゾナントでは、goo botmakerを一般ユーザーに提供するだけではなく、B2B向けのビジネス展開も模索している。河村氏は、goo botmakerによる新たなビジネスの可能性として、「キャラクタービジネス」と「マーケティングビジネス」の2つを挙げる。

 キャラクタービジネスは、今回の壽屋のように、自社でキャラクターを持っている企業にgoo botmakerのプラットフォームを提供し、キャラクターのチャットbotを一般ユーザーとともに作っていくというもの。今までは企業側が作ったフィギュアやアイテムをファンが買うという構図だったが、goo botmakerではファンと一緒になってチャットbotを作っていくことで、ファンのキャラクターに対する熱量をさらに高められる。

 「ファンは、自分の可処分時間と可処分所得をキャラクターのために惜しみなく注ぎこんでいる。goo botmakerを活用することで、こうしたファンを巻き込みながら新しいキャラクタービジネスの形が作れるのではないか」(河村氏)としている。

日本酒コンシェルジュAI朱鷺椿の育成イメージ

 2019年10月には、共同プロジェクト第2弾として漫画『酒男子』と連携し、AIチャットbotサービス「日本酒コンシェルジュAI朱鷺椿」を開始する。ユーザーから募集したサポーターが「日本酒コンシェルジュAI朱鷺椿」の応答パターンを登録すると、承認された応答パターンのみAI対話エンジンへ反映されるという。

 マーケティングビジネスは、goo botmakerの育成プラットフォームをマーケティングに活用することで、消費者目線による今までにないタイアップやコラボレーションを展開していくというもの。キャラクターではなく、企業が販売している商品やサービスの認知向上やニーズ喚起につながるチャットbotを消費者とともに作っていくことで、新たなファンエンゲージメントの醸成が可能になるという。

 「例えば、腕時計メーカーが商品をもっと身近なものにするために、腕時計をテーマにしたチャットbotを作る。このときに、goo botmakerを使って、消費者にも参加してもらい、メーカー側の視点で腕時計に関する疑問や課題などの対話をインプットしてもらう。そうすることで、単なる商品紹介のチャットbotではなく、消費者の悩みに寄り添ったチャットbotを作れる。チャットbot開発に参加した消費者にとっては、これをきっかけに腕時計の課題について自分事に感じるようになり、商品へのエンゲージメントをより深められる。また、チャットbotのアイデアを消費者から募集するのも面白いと思っている」(河村氏)

 カスタマーサポートでの問い合わせ対応が中心だったチャットbotを一般ユーザーへと解放し、新たな可能性にチャレンジするgoo botmakerの今後の展開に注目される。

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