今回の件で、プライバシー意識の向上には「可視化」が非常に重要であることを、身をもって体験できました。iOS 13の新機能は、プライバシーに関する情報の取り扱いが軽視され続けてきたことに対して、OS提供側がかなりの強権を発動した結果ともいえるでしょう。
アプリの設定時に、ほとんど何の説明もなく、「それでは許可を押してください」とだけ表示して、緩い設定を強いる事例は珍しくありません。Appleは、このような例の増加を問題視していたのではないかと思います。ユーザーとしては、今回の新機能は非常にうれしいものになるはずです。
ただ、問題はこれらの機能でアプリ開発者に強いたようなガバナンスが、OS提供者自身にも効いているのかということ。サードパーティー開発者だけ締め上げていたのに、Appleだけがガバガバでした――などということがないようにしてほしいと思います。残念ながらそれに関しては、継続して厳しい視線を送り続けるくらいしかないのですが。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。
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