富士通グループで“もう1つのDX推進会社”が本格始動――富士通マーケティング広瀬社長に聞くWeekly Memo(1/2 ページ)

富士通グループの中堅中小企業向け事業を担う富士通マーケティング(FJM)が、DX支援に向けて本格的に動き出した。富士通本社も2020年1月にDX新会社の設立を表明しているが、FJMはグループの中で“もう1つのDX推進会社”としての役割を担う構えだ。その思いと戦略とは?

» 2019年11月25日 15時30分 公開
[松岡功ITmedia]

新任の広瀬社長が実感したパートナー企業との信頼関係

 「富士通グループ全体の戦略の中で、富士通マーケティング(FJM)を富士通本体に統合するとの議論もあったかもしれない。FJMが手掛けてきた中堅中小規模向け国内民需に向けてパートナー企業とともにさらなる事業拡大を図っていくというのが、社長に就いた私の使命だ」

 こう語るのは、富士通グループの中堅中小企業向け事業を担う富士通マーケティング(FJM)代表取締役社長に2019年6月に就任した広瀬敏男氏だ。単独取材に応じたもので、FJMの現状と今後について話を聞いた。

Photo 単独取材に応じる富士通マーケティング代表取締役社長の広瀬敏男氏

 ただ、筆者は本題に入る前に、どうしても確認しておきたい点があった。富士通グループでは2018年から2019年にかけて再編、統合を進め、その中でFJMが富士通本体に統合されるという話が、信ぴょう性を帯びて伝わっていたからだ。真相はどうなのか。まず、そう聞いてみたところ、返ってきたのが冒頭のコメントだ。さらに、広瀬氏はこう続けた。

 「組織というのは、事業環境の変化に応じて機能の分化と集中を繰り返して強くなっていく。富士通グループの動きも同じで、常にその時々の最適解を追求するのが経営だ。その意味では、富士通の時田(隆仁)社長が6月に就任して新たな経営体制で動き出した。FJMも自らの強みをどんどん押し出していきたい」

 何やらFJMの統合話は「進化論」でかわされてしまった感じだが、それとは裏腹にFJMの業績は好調のようだ。富士通の100%子会社なので公表しているのは年間の数字だけだが、2018年度(2019年3月期)の売上高は前年度比12.8%増の2304億円で過去最高を記録。広瀬氏によると、「2019年度上期(2019年4〜9月)も過去最高ペース」とのことだ。

 好調の背景には、「Windows Server 2008」と「Windows 7」のサポートが2020年1月14日で終了するのに伴うシステムやPCの更新という追い風がある。それに相乗効果をもたらすように、全国規模で展開しているパートナー企業との連携事業が好調に推移しているという。社長就任以来これまで全国の顧客やパートナー企業をできるだけ訪れてきたという広瀬氏は、FJMとの信頼関係に強い手応えを感じたそうだ。

 FJMとパートナー企業との連携事業については、FJMが名称変更して設立されたときの状況を、2010年10月4日掲載の本コラム「『富士通マーケティング』設立の舞台裏」に記している。

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