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» 2020年01月07日 07時00分 公開

半径300メートルのIT:2020年の日本を揺るがす“ITの転換点”2つ、あなたは言えますか?

2020年、日本のIT分野に2つの大きな“転換点”が訪れるのをご存じでしょうか? 1つ目はWindows 7のサポート終了。2つ目は小学校におけるプログラミング学習の必修化です。「たかが子どもの教育内容じゃないか」と思うなかれ。なぜこの2つが重要なのか、今振り返っておきましょう。

[宮田健,ITmedia]

 2020年がスタートしました。今年も半径300メートルくらいの範囲内にある、身近なIT情報をお届けしていこうと思います。よろしくお願いいたします。

 実は私、2019年末に編集部と「2020年の新春一発目はやっぱり『Windows 7』の話題ですかねえ」というお話をしていました。2020年1月14日、Windows 7のサポートがとうとう終了します。Windows 7がリリースされたのは2009年。2009年というと、2代目の「iPhone 3GS」が発売された頃です。現在、iPhone 3GSを現役で使っている人はいないでしょう。Windowsユーザーにも最新のOSへ移行していただきたいものです。

Windows 7 サポート終了まで 3 週間。最新環境への移行を強くお勧めします - Windows Blog for Japan

「ウィンドウズ7」 年明けサポート終了 早めの対策を | NHKニュース

 ……と、150字書いてこの話題が済んでしまったところで、今回は別の話題も皆さんにお届けしようと思います。突然ですが皆さん「プログラミング的思考」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

2020年以降、全ての人材に「プログラミング的思考」が必須に?

 IT分野で仕事をしているという読者は既にご存じかと思いますが、2020年から小学校でプログラミング学習が必修化されます。文部科学省の「【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」には、このような一文があります。

子供たちが将来どのような職業に就くとしても時代を越えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」(自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力)を育むため、小学校においては、児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施することとしている。

 これだけ読むと、何のことだかよく分からないかもしれません。要約すると、子どもが将来プログラミングに挑戦する際必要になる論理的思考力を、小学校の授業で育てるということ。これに似た動きとして、将来活躍する人材を育てようと、化学(Science)、技術(Technology)、エンジニアリング(Engineering)、数学(Mathematics)といった分野を通して子どもの論理的思考能力を養う「STEM教育」や、これに芸術(Art)を足した「STEAM教育」などが活発化しています。それらの教育を他校との差別化要因にしている小学校もあるそうです。

 もはや小学校でも、スマートデバイスは教育のために必須になるのかもしれません。スマートデバイスを持つことと、上記の「プログラミング的思考」は別の概念なのですが、混同されやすいのも事実。今、小学校の先生やその年頃のお子さんを持つ親御さんたちは頭を抱えているかもしれません。

 そんな中、NHK Eテレが非常に良いコンテンツを出してきました。それが「テキシコー」という番組です。

 私が特に注目したのは、この番組がプログラミング的思考を以下の5段階に分け、分かりやすく紹介するしている点です。

  • 分解:小さく分けて考える
  • 組み合わせ:手順の組み合わせを考える
  • 一般化:パターンを見つける
  • 抽象化:大事なものだけ抜き出して考える
  • シミュレーション:頭の中で手順をたどる

 例えば第1回は、レールとレールの上を動く列車、レールに付けられたゲートを使って「レールの上を列車が動き、ゲートにぶつかったらどうなるか」をあらかじめ頭の中でシミュレーションし、その通りに動くかどうかを紹介しています。これは、子供だけでなく一緒に見る親にも分かりやすい内容といえます。制作は「ピタゴラスイッチ」「0655」「2355」などを手掛けたチーム。現在放送済みの2本は、上記のWebサイトで公開されています。気になる方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。

「プログラミング的思考」はオトナにこそ必要!

 プログラミング的思考は、なにも子供たちだけに必要なスキルではありません。文科省が学習指導要領に含めたことで注目を集めましたが、これはむしろオトナたちにこそ必要なスキルではないでしょうか。

 2020年は、おそらく「AI(人工知能)」「機械学習」の本格的な実用化が進むでしょう。しかし経営者層には、AIをいまだに「ドラえもん」のような存在だと考えている方も多いようです。AIというキーワードとビジネスで活用されている結果だけ見て、それが一体どのようなものなのかを理解しないまま、現場に「AIで新サービスを作れ!」といった指示をするような例も例も耳にします。そのような方にこそ、AIなどの概念をまずは簡単な“論理的思考”のレベルから理解していただきたいものです。

 今後「プログラミング的思考」は、全ての人材に求められるスキルになるでしょう。既に触れているという皆さんも、2020年の授業必修化きっかけに、改めて目を向けてみてはいかがでしょうか。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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