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「ID貸して」なんでダメ? ゲームもダウンロード販売になった現代の「貸し借り」問題(1/2 ページ)

» 2019年05月08日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 わが家では「Nintendo Switch」が活躍しており、一時期はアクションシューティングゲーム「スプラトゥーン2」を夢中でプレイしていました。今ではゲームもダウンロード販売かつオンライン環境が前提となっていて、その昔カセットを貸し借りしていた時代とは大きく変わってしまいました。

 今ではゲームソフトの実態すらなくなってしまい、ゲームも貸し借りができないとなると、子どもたちの遊びのスタイルも大きく変わっているのだろうなあと思います。私自身は体験してはいないものの、どうやら世の中には「IDを貸してくれ」とねだられる事例もあるのだとか……。これはちょっと問題ですね。

「ID貸し借り」は多重ログインでバレる

 例えばオンラインで動画を配信する「Netflix」や「Hulu」、「dビデオ」などは、契約さえすれば何本でも映画やドラマを見られるサービスです。似たようなサービスは音楽分野でも増えており、買い切りからサブスクリプションサービスへの移行が日本でも進んでいます。

 買い切りであれば、買ったCDやビデオなどを貸し借りすることはできました(友人など「特定の少数」に対してであれば合法)。サブスクリプションサービスになったらそれがなくなるかと思いきや、「IDとパスワードを貸す」という方法で貸し借りをしているという事例もあるようです。もちろん、これは各サービスの規約で禁止されている行為です。

例えばNetflixでは、明確に「お客さまのご家庭以外の方との共有」は禁止している

 同居しているかどうかはさておき、「ご家庭以外」でのIDパスワードの貸し借り、つまり多重ログインをシステム上でシャットアウトしている場合もありますし、2〜3台までは許可されている事例もあります。

 しかし全く関係のない場所から同時ログインされている場合、システム上でも把握は可能です(映像、音楽系の場合リージョンごとに契約を結ぶ場合が多く、どこからアクセスしているかはかなり過敏に検知しています)。万が一規約違反とみなされて、二度とサービスを利用できなくならないように、また「ID、パスワードは他人に教えてはならない」という原則に立ち返っても、このようなことはすべきではないでしょう。

「ID貸して」がより身近な事例は家庭にある

 「さすがにサービスのID、パスワードを貸すことはない」と思っているあなたも、もしかしたら似たような問題を実は抱えているかもしれません。

 それは「家庭内無線LAN」の共有です。

 例えば友人が自宅に遊びに来た際、友人が契約している動画配信サービスを一緒に見るために、自宅に設置している無線LANのSSIDとパスワードを教えてしまうようなシチュエーションがあるかもしれません。

 実はこれ、貸す側にとっては大きなセキュリティリスクとなりえます。

 企業では最近、「もはやファイアウォールだけでは守れない!」という考えの下、ファイアウォール侵入後も不正な通信を検知したりファイルを暗号化しておいたりする「多層防御」という考え方が主流になりつつあります。

 しかし家庭ではそれほどのセキュリティ意識は醸成されておらず、いまだに「ブロードバンドルーターという壁1枚で守る」という考え方が一般的です。「無線LAN貸して」とは、このブロードバンドルーターの壁の中に入れるという行為ですので、家庭内ネットワークにNAS(Network Attached Storage)などがある場合、そこへのアクセスもできてしまいます。さらに問題なのは、一度アクセスを許した場合、玄関先まで来てしまえばネットワークへつなぎ放題になる上に、その検知も難しいということです。

 何もそこまで……と思うかもしれませんが、むしろこれは大人ではなく「子どもたちの世界」のほうが身近な問題でしょう。

 持ち運べるゲーム機を持って、あなたの家に集まった場合、当然子どもたちは無線LAN環境を必要とするでしょう。もし私が子どもで、何もセキュリティの知識がなければ、親に教えてもらったパスワードをみんなで共有するかもしれません。そして、一度無線LANが接続できると知ったら、あなたの家に誰もいなくても、玄関先に集まればゲームができるわけです。

 この状況は、ちょっと問題ですね。もしかしたら、そのパスワードが友達の友達に広まることすら考えられるわけですから(しかも、この状況を是正するためには、全ての機器で無線LANパスワード設定を変更するしかありません)。

 ここでも、どんなものであれ「パスワードは他人に教えてはならない」という原則が適用できるはずです。

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