地域限定で産業用への活用が期待される新たな移動体通信技術「ローカル5G」。多くの企業や自治体などが参入するとみられるが、中でもICTに精通するSIerはどんな役割を果たすのか。SIer大手の日鉄ソリューションズに聞いた。
第5世代移動通信システム(5G)の地域限定版で産業用途への活用が期待される「ローカル5G」。2020年1月からSIerの日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)が始めた同分野向けサービスから見える、システムインテグレーター(以下、SIer)の果たすべき役割の変化を追った。
NSSOLが上記の発表を行ったのは2019年11月下旬。さらに12月中旬、同社はローカル5G事業の強化に向けて、フィンランドの通信機器大手ノキアと国内販売代理店契約を結んだ。
そうした動きを踏まえた上で、ローカル5GにおけるSIerの役割について、NSSOL取締役常務執行役員の大城 卓氏と、同社テレコムソリューション事業部エンジニアリング第二部業務システム第四グループ グループリーダーの水野正克氏に話を聞いた。(写真1)
まずは上記の発表内容について概略を紹介しておこう。
NSSOLがこの1月から提供開始したのは、企業の生産現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する情報収集・活用基盤となる自営無線網(ローカル5G/プライベートLTE)サービスである。
同サービスは、顧客企業の生産現場で発生するさまざまなデータを効率よく収集。また収集、分析されたデータを生産現場で柔軟に活用するための無線通信環境を提供するものだ。
ローカル5GとプライベートLTE(4G)を用いることで、Wi-Fiよりも広いサービスエリアと安定した通信環境を構築できる。また月々のデータ通信量に依存しない、より企業ニーズに適合した通信環境の提供が可能だという。さらに、構成する機器類は顧客企業の環境内に設置することで、特に製造業で重視される現場の操業データを外部に流さない高いセキュリティを担保するとしている。図1が、その利用シーンのイメージである。
NSSOLは、顧客企業が自営無線網を導入、利用する際に必要となる無線免許の申請や構成する機器類のマネージドサービスなど、導入検討段階から構築、運用まで一貫したサービスを提供する。その推進組織として「5G推進センター」を新設した。
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