パートナー施策にユーザー視点はあるか? SAPにみるDXの協創「デジタルエコシステム」の進化と課題Weekly Memo(1/2 ページ)

SAPジャパンがDXビジネスの推進に向けてパートナーやユーザー企業との協創による「デジタルエコシステム」に注力している。その進化と課題について考察したい。

» 2020年10月05日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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「デジタルエコシステム」で3つの戦略を展開

 SAPジャパンが2020年9月30日、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するSIビジネスに向け、パートナーやユーザー企業との協創を軸に展開する「デジタルエコシステム」の最新状況について、オンライン形式で記者説明会を開いた。

 同社ならではのDXビジネス推進形態の話だが、その内容はDXを協創の形で進めようとしている企業にとっても参考になるところがあると思うので、図を交えながら紹介したい。なお、協創は「共創」とも記されるが、SAPジャパンはかねて協創と表記しているので、本稿ではそれを尊重する。

 同社は2020年の事業戦略として、SAPがグローバルで掲げるエンタープライズITの将来像「インテリジェントエンタープライズ」の実現に向けて、図1に示すように5つの重点領域を挙げている。デジタルエコシステムはそのうちの1つだ。デジタルエコシステムの領域では「導入/販売パートナー企業への支援強化」「補完するソリューションの拡充」「イノベーションエコシステムの構築」の3つに注力する。

Photo 図1 SAPジャパンの2020年の重点領域5つと「デジタルエコシステム」の3つの戦略(出典:SAPジャパン)

 それらの最新状況について、SAPジャパンがデジタルエコシステム事業を立ち上げた2017年からけん引してきた大我 猛氏(常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー兼デジタルエコシステム事業担当)が次のように説明した。

Photo SAPジャパンの大我 猛氏(常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー兼デジタルエコシステム事業担当)

 1つ目の導入/販売パートナー企業への支援強化では、「パートナーサクセスプログラム」を拡充だ。図2に示すように、事業計画/人材採用から営業活動、研修、実践型ワークショップ、プロジェクトまでの活動を一貫して支援できるようにした。言い換えれば、これがパートナー施策に求められる要素だ。

Photo 図2 拡充したパートナーサクセスプログラム(出典:SAPジャパン)

 パートナー企業内のSAP認定コンサルタント数は2020年8月時点で約1万8000人と、2年半で倍増させた。また、国内のパートナー数も353社と、2年半前と比べて約1.5倍に拡大した。大我氏によると、認定コンサルタントは2020年に入ってから伸び率が一段と高まっており、パートナーおよびユーザー企業のSAPへの期待を強く感じるという。

パートナー施策向上へ SAPが注力するポイントは

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