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» 2020年06月22日 11時00分 公開

Weekly Memo:SAPの新CEOが説く「これからのエンタープライズIT」 (1/2)

SAPの新CEOが自社イベントで「これからのエンタープライズIT」について語った。ERP最大手の同社がDXビジネスの展開へ向けたビジョンでもある。SAPの戦略を通じて、エンタープライズITの今後について考察したい。

[松岡功,ITmedia]

 SAPが米国時間2020年6月15日にオンライン形式で開催した年次イベント「SAPPHIRE NOW 2020」の初日の基調講演で、CEO(最高経営責任者)のクリスチャン・クライン氏が、同社のビジネス戦略について語った。同氏は2019年10月からジェニファー・モーガン氏と共同で同社のCEOを務めてきたが、2020年4月末にモーガン氏が退任したことを受け、単独CEOに就任している。

Photo SAPPHIRE NOW 2020の基調講演でスピーチするSAP CEOのクリスチャン・クライン氏

 SAPが今、ビジネス戦略として最も注力しているのは、「インテリジェントエンタープライズ」の推進だ。インテリジェントエンタープライズとは、これからのエンタープライズITの在り方を見据えた同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)ビジネス戦略のことだ。

 SAPがこのインテリジェントエンタープライズという戦略を本格的に打ち出したのは2018年のことだ。本連載でも2019年4月8日掲載の「ERPからインテリジェントエンタープライズへ――SAPは企業のデジタル変革をどのように支援しているのか」で取り上げているので参照いただきたい。この記事で象徴的なメッセージは、タイトルにもある「ERPからインテリジェントエンタープライズへ」。すなわち、SAP自身の大変身を目指す戦略である。

SAPが提案する「インテリジェントエンタープライズ」とは

 今回のイベントでは、クライン氏がその最新の取り組みについて説明した。図1に示したのが、インテリジェントエンタープライズの全体像だ。

Photo 図1 インテリジェントエンタープライズの全体像とSAPが提供するサービス群(SAPジャパンより提供)

 まずは図1の見方を大まかに紹介しておこう。下から「テクノロジー」「アプリケーション」「ビジネスプロセス」と大きく3層に分かれており、テクノロジー層の「ビジネステクノロジープラットフォーム」は、「データベース」「アナリティクス」「アプリケーション開発」「AIなどのインテリジェントテクノロジー」といった4つの要素で構成されている。

 また、アプリケーション層の「インテリジェントスイート」は業務別クラウドアプリケーションを、「インダストリークラウド」は業種別ソリューションをクラウド展開していく。インダストリークラウドについては、業種ごとに精通したパートナー企業と連携しながらビジネスを進めていく構えだ。

 ビジネスプロセス層は、「ビジネスネットワーク」と記されている外部環境とSAPのアプリケーションを連携させて利用できるようにする役割を担う。

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