住友商事は人材戦略の一貫として、2018年から全社的なテレワーク導入を始めていた。その経験が功を奏し、2020年のいわゆる「コロナ禍」においても円滑に全社在宅勤務を始められたという。しかし、初めから全ての従業員がスムーズに適応できたわけでも、ビジネスへの影響が全く出ないわけでもなかった。
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「2018年11月から約2年間、取引先や関係者の協力も得ながら地道に取り組みを進めてきたことが、今回のコロナ禍対応でも生かせました。人事厚生部では『これまでの下地がなかったらと思うとゾッとするね』と話し合っています」
こう述べたのは、住友商事 人事厚生部の武藤千明氏。2020年5月27日にITmediaエンタープライズが主催したWebセミナー「働き方改革だけではなく、BCP/DRにも ~いつでも、どんなときでも働けるテレワーク実現術〜」の特別講演において、同社のコロナウイルス感染症(COVID-19)対応を振り返っての言葉だ。
住友商事では、2018年から全社的なテレワーク導入を始めていた。中期経営計画の人材戦略に基づき「“Diversity & Inclusion”〜多様な力を競争力の源泉に〜」をコンセプトワードとして、一人一人の違いを認め、尊重し、受け入れることを目指すものだ。テレワーク精度もその中に位置付けられていた。その根本には「“社員一人一人の働き方や組織マネジメントのあり方を変えていかなければ、変化の時代に生き残っていけない”という危機感」(武藤氏)があったという。
「テレワーク制度導入の目的は、“社員のパフォーマンス発揮を最大化すること”にありました。取り組みは支援策の策定や『テレワーク・デイズ2019』への参加などで確実に浸透しており、そのためCOVID-19の拡大に伴う全社的なテレワークへの移行も円滑に実現しました」(同氏)
同社はもともと、テレワークを「付加価値を生み出す働き方」(武藤氏)として取り入れようとしていた。
「従来とは次元の異なるスピードで市場環境が変化し、ビジネスモデルの多様化や高度化が進んでいます。多様な人材の強みを掛け合わせて新しい価値創造に挑戦する必要があり、一人一人の働き方や組織マネジメントのあり方も変えなければ、この変化の時代に生き残っていけません。人事厚生部は“自分自身に合った働き方を自律的に考えてコントロールし、それによって仕事のパフォーマンスを高めて個人や会社の成長に繋げてほしい”と考えていました」(同氏)
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