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» 2020年11月05日 07時00分 公開

【特集】人材採用、育成のDX:「個人最適型」の人材育成にデータ活用へ 鹿島建設が急ピッチで挑む変革の中身 (1/2)

職種によって特殊な技能が求められる土木、建設業界で、これまでオフラインの集合研修で進めてきた人材育成の形を変えようとしているのが鹿島建設だ。これまでの人事業務の在り方も見直し、全社規模でデータ活用を進める同社の狙いとは。

[吉村哲樹,ITmedia]

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 国内を代表する大手ゼネコンの1社として、特に高層ビルや社会インフラ設備などの建設で豊富な実績を誇る鹿島建設。近年は建築物の設計や施工のみならず、地域開発事業者や不動産デベロッパーとしての存在感も高めつつある。海外プロジェクトにも積極的に参画し、年々グローバル企業としての性格も強めている。

鹿島建設の北野 正一郎氏(人事部 企画グループ長)(写真提供:鹿島建設)

 同社が近年取り組んでいることの一つが、数千人規模の社員を対象にした、人材育成と人材管理の方針転換だ。同社の北野 正一郎氏(人事部 企画グループ長)はその背景について、次のように説明する。

 「これまで当社は、若手社員を一人前の建築、土木エンジニアに育て上げるためのさまざまな研修や教育施策を、社員の職種や階層に応じて数多く実施してきました。しかし今後の国内建設需要の伸び悩みを見据え、弊社でも単に建築物を設計、施工するだけではなく、(担当する業務によっては)建築した後のランニングコストまで含めた『ライフサイクルコスト』のマネジメントといった新たな能力が求められるようになってきました。従って人材面においても、そのためのスキルを身に付けられる育成方針に転換しつつあります」(北野氏)

「現場の会話」にとどまっていたキャリア相談をどうデータ化するか

 キャリアに対する考え方の多様化も、育成の変化を後押しする要因だ。これまでのように、入社年次に従って全員に同じ研修を受けさせるような育成プランではなく、社員それぞれが目指すキャリアに応じて教育プランや研修プランを最適化できるような仕組みが求められている。

 そのためには、社員一人一人からキャリアの展望や要望をヒアリングし、それを情報としてきちんと管理する必要がある。もちろん、以前からそのための仕組みは存在してはいた。ただし、実際の運用は現場に委ねられており、社員のキャリアに関する情報を活用する仕組みには課題があったという。

 「かつては仕事が終わった後に上司と部下が連れ立って飲みに行き、そこで個人的に相談に乗るような、いわゆる『飲みニケーション』で社員一人一人のキャリアプランをサポートしていた面がありました。しかし今日ではそうしたコミュニケーションの在り方はかなり廃れてきています。もう少し今の時代に即したスマートなやり方を導入する必要があると考えていました」

 同社は、社員からキャリアについて人事担当者がヒアリングする制度を以前から設けていたという。ただし、その情報は現場レベルで紙や「Microsoft Excel」で管理することが多かった。そのため、全社規模の人材育成や配置の戦略に反映させるためには、人事部門の担当者がそれらの内容を個別に確認する必要があり、膨大な手間が掛かっていた。「データ活用の促進」「人事部門の働き方改革」といった面において、集めた情報を単一のプラットフォームに集約し、管理できる仕組みが必要になっていた。

人材情報を集約、一元管理する仕組みをどう構築したか

 そこで同社は、新たな情報システムの導入に踏み切った。システムに対して求めていた主な要件は、社員のキャリアプランに関する情報をきめ細かく収集、管理できることと、それを基に社員一人一人に最適化した育成方針やプランを検討、提示できることだ。

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