富士通研究所が開発 Mビット級の大規模組み合わせ最適化問題を解いた新技術

富士通研究所は、組み合わせ最適化問題解法アーキテクチャ「デジタルアニーラ」に向けた「並列探索技術」をトロント大学と共同で開発した。Mビット級の大規模問題に対応する。

» 2020年11月10日 07時00分 公開
[ITmedia]

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 富士通研究所は2020年11月9日、複数の組み合わせパターンの中から最適解を求める「組み合わせ最適化問題」の解法アーキテクチャ「デジタルアニーラ」に向けた新たな「並列探索技術」をカナダのトロント大学と共同で開発したと発表した。

 今回開発したアーキテクチャを適用したデジタルアニーラの大規模求解システムは、Mビット級の大規模問題に対応する。富士通研究所によると、イジングマシンを使った量子アニーリング方式において「世界で初めて1Mビット規模の実用問題において求解を実証した」という。

 富士通研究所は「多品種少量生産の製造現場で、部品ごとに異なる製造工程を人員や装置、納期を考慮して工場全体でスケジューリングしたり、物流分野の配送計画を全国規模で最適化したりするには、計算量が膨大な1Mビット規模の組み合わせ最適化問題を解く必要がある」と説明する。

 デジタルアニーラはオンプレミスサービスと富士通が提供するクラウド版の「FUJITSU Digital Annealer クラウドサービス」があり、いずれもas a Service型の月額利用料のみで利用できる。クラウドサービス版は現在8192ビットまで利用できる。富士通研究所によると、今後新技術により、実社会の組み合せ最適化問題における下図の点線赤枠の領域が対応可能になるという。

実用問題とビット規模。点線赤枠の領域が今回の新技術で対応できるようになるという(出典:富士通研究所)

新技術「並列探索技術」の2つの特徴とモデルケースについて説明

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