富士通らが「デジタルアニーラ」でCOVID-19治療薬の開発へ

治療薬開発の領域もITの進展が貢献する。富士通はペプチドリームなどと共同で、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目指す新会社を設立した。最短で2021年秋の臨床試験を目指す。

» 2020年11月12日 14時50分 公開
[原田美穂ITmedia]

 ペプチドリームと富士通、みずほキャピタル、竹中工務店、キシダ化学の5社が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の開発を目的とした合弁会社ペプチエイドを設立した。株主構成はペプチドリーム25%、富士通25%、みずほキャピタル24.9%、竹中工務店16.7%、キシダ化学8.3%。医薬品の研究や開発・製造、販売および輸出入と付帯する事業を担う。

 ペプチドリームは独自の創薬開発プラットフォームを使い、COVID-19治療薬の開発候補化合物の同定を進めている。新会社はペプチドリームからCOVID-19の候補化合物の譲渡を受け、前臨床試験から人手の有効性確認に必要となる臨床試験までの実施を目指す。候補化合物の特定には富士通の「デジタルアニーラ」やHPCを利用する。別会社化した理由については「治療薬開発を最短で進めるには既存のアセットを生かしながら別組織を立ち上げるのが最も効率が良い」(ペプチエイド代表の舛屋圭一氏)とする。

デジタルアニーラと計算ユニット(DAU)(出典:富士通)

 ペプチエイドは年内に開発候補化合物の決定を目指し、2021年の初めには非臨床試験を実施する計画だ。最短で2021年秋の臨床開発入りを想定する。後記臨床試験で協働する日欧米の製薬企業との交渉も、2021年の年始を予定する。

今後の開発計画(出典:富士通)

なぜデジタルアニーラなのか

 富士通が開発したデジタルアニーラは「量子コンピュータを実用性で超える新アーキテクチャ」をうたう。

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