2020年、コロナ禍は組織のITをどう変えた? 注目の話題5つを振り返ろうITmedia エンタープライズ 2020年を振り返る〜コロナ禍編〜(1/2 ページ)

社会や組織が大きな変化を余儀なくされる中、組織や人、データを結び付け、その安全を守るITの新たな役割や課題が次々と明らかになってきました。その中から、2021年の参考にしたい話題を5つ取り上げます。

» 2020年12月18日 07時00分 公開
[高木理紗ITmedia]

 2020年もあと少しで終わりを迎えます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で社会が大きく混乱する中、組織や人、データをつなぐITの役割が一層見直されたのが、この1年でした。

 ITmedia エンタープライズ編集部は、未曽有のコロナ禍によって大きく変化した企業ITの2020年を振り返り、改めて注目したい話題や出来事を5つ選んでお届けします。

 2020年に出た記事をたどると、緊急事態宣言の発令を目前に控えた3月辺りから、コロナ禍の影響を感じさせる話題が増え始めていました。それからおよそ10カ月、私たちを取り巻く環境はどう変化したのでしょうか。5つの記事から振り返ります。

常駐型の開発、運用、管理は終わった――システム移行もテレワークで進める時代に

 2020年4月に緊急事態宣言が発令されたことで、一気に広がったのがテレワークです。首都圏を中心に、少なくない数の企業が全社テレワークに踏み切りました。

 これまで、テレワークといえば「もともと移動の多い職種の人たちが、オフィスに来れないときに一時的にやるもの」という認識が一般的だったのではないでしょうか。ところが「誰でも、いつでも、オフィスの外から」という本格的なテレワークを半ば強制的に実施したことで、今まで現場に常駐していた情報システム部門やIT部門も、システムの運用管理や開発を遠隔環境から実施する例が出てきました。

 2020年5月に、早くも完全テレワークで大規模なクラウド移行を実施していたのが、火力発電事業を手掛けるJERAです。同社の情シス部門は、もともとオフィスで主要な業務システムをオンプレミスからクラウド環境に移行する作業を進めていましたが、コロナ禍の影響で途中から完全テレワークに切り替え、作業を続行しました。

コロナ禍でも移行を止めるな 大型基幹システムを“途中から完全テレワーク”でクラウド化したJERAのDX

 東京電力フュエル&パワーと中部電力から火力発電事業を受け継いだJERAは「重要戦略」と位置付けた主要基幹システムのクラウド移行を完了した。事業を受け継ぐ時点で「システムは一から作り直すと決めていた」という同社のDX戦略とは何か。また移行途中でコロナ禍に見舞われ、情シスが全員テレワークになってもプロジェクトを進めた方法とは。


 テレワークを開始した当初は多少の遅れも生じたとのことですが、メンバー同士のコミュニケーションを進めて移行作業を完遂しました。インタビューで「今後は運用管理も遠隔で実施できるようにしたい」と語っていた彼らが大規模なクラウド移行事業をどう進めたのか、記事でぜひチェックしてみてください。

全社テレワークが拡大 ITが企業の“新常態”を支える主要インフラに

 全社テレワークを進める企業の中には、ITインフラの運用管理だけでなく、組織全体で業務の在り方そのものを見直すケースも出てきました。その1社が住友商事です。

 大規模な数の社員を抱える同社は、Software as a Service(SaaS)を活用したり、ポリシーそのものを見直したりしながら、コミュニケーションや勤怠管理の変化に対応した過程について明かしました。

”週2テレワーク”からさらに進んだ“週5完全在宅勤務"、先進企業のリアルな学びとは 住友商事

 住友商事は人材戦略の一貫として、2018年から全社的なテレワーク導入を始めていた。その経験が功を奏し、2020年のいわゆる「コロナ禍」においても円滑に全社在宅勤務を始められたという。しかし、初めから全ての従業員がスムーズに適応できたわけでも、ビジネスへの影響が全く出ないわけでもなかった。


 もともと「週2回」のテレワークを前提に準備を進めていたからこそ、突然の全社テレワークにも対応できたという同社は、そのメリットやデメリットについても率直に語っています。ポリシー策定のレベルから柔軟に変化に対処する同社の取り組みは、組織の規模を問わず参考になりそうです。

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