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» 2020年06月05日 07時00分 公開

コロナ禍でも移行を止めるな 大型基幹システムを“途中から完全テレワーク”でクラウド化したJERAのDX

東京電力フュエル&パワーと中部電力から火力発電事業を受け継いだJERAは「重要戦略」と位置付けた主要基幹システムのクラウド移行を完了した。事業を受け継ぐ時点で「システムは一から作り直すと決めていた」という同社のDX戦略とは何か。また移行途中でコロナ禍に見舞われ、情シスが全員テレワークになってもプロジェクトを進めた方法とは。

[吉村哲樹,ITmedia]

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 火力発電企業のJERAは、かつて東京電力グループの燃料、火力発電事業を担っていた東京電力フュエル&パワーと中部電力が、それぞれ50%ずつ出資して2015年に設立された。東京電力グループと中部電力の火力発電事業を承継し、燃料の調達から輸送、備蓄、発電までを一手に担う。日本だけでなくアジアや欧州の火力発電や風力発電事業、燃料事業を手掛けるなど、発電事業者としては世界でもかなり大型の部類に入る。

 同社は2020年5月末、社内で運用する主要業務システムのフルクラウド化を実現した。発電所のプラント管理を支えるシステムのみ、セキュリティの事情でオンプレミスに残しているが、それ以外の基幹系システムおよび周辺システムは、ミッションクリティカルなものも含め全て「Microsoft Azure」のパブリッククラウド環境に移行したのだ。

 発電という重要な社会インフラを担うJERAは、業務システムにも高い信頼性や安定性を求められる。そんな同社が、一見大胆とも思える「ミッションクリティカルなシステムの全面クラウド化」に踏み切った背景には、一体どんな事情があったのか。

事業を引き継いでも、システムは一から作り直す――最初から決めていた理由

 同社の情報システム部門を率いる藤冨知行氏(経営企画本部 ICTマネジメント推進部 部長)は「システムのクラウド化自体が、JERAの設立目的を達成する重要な手段に位置付けられています」と話す。

Web会議で取材に応じた、JERAの藤冨知行氏(スクリーンショット提供:JERA)

 「2015年の設立以来、JERAは東京電力と中部電力の燃料、火力発電事業を少しずつ段階を踏んで承継し、2019年4月には両社の火力発電事業の全てを承継して統合しました。しかし、通常の企業合併やM&Aとは異なり、片方の会社の業務プロセスやシステムにもう片方が合わせるというやり方は一切採りませんでした。

 その理由は、JERAが東京電力とも中部電力とも異なる、グローバル市場で戦うにふさわしい『第三の企業文化』を独自に確立することを目指したからです。従って業務システムも、主要な基幹システムは一から独自のものを構築する道を選びました」(藤冨氏)

 ただし、各業務に最適化したシステムをそれぞれ一から開発していては、あまりにも時間がかかり過ぎる。事業展開のスピードにもそぐわない。そこで同社はERPパッケージ製品を導入して短期間で基幹システムを立ち上げつつ、グローバル市場を見据えて迅速な事業変化に対応できるシステム作りを目指すことにした。

オンプレミスにERPを導入――あるきっかけでクラウド移行が「重要戦略」に

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