帰ってきた“ミスター日本オラクル”三澤社長 データベース戦略でDXの「開発」に何をもたらすのか日本オラクル 三澤新社長インタビュー【後編】(1/2 ページ)

日本オラクルの新社長に就任した三澤智光氏が、日本市場の戦略においてクラウドと同様に注力するのがデータベースだ。その中でも熱い視線を注ぐ先が、DXの一翼を担うような「クラウドネイティブなアプリ開発の現場」だという。最先端のデータベースで何をもたらそうというのか。

» 2021年01月25日 11時00分 公開

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 2020年12月に日本オラクルの社長に就任したばかりの三澤智光氏は、同社のデータベース事業を「社会インフラ」と表現する。同氏は2015年から5年間、日本IBMのクラウド事業を率いた経験を持ち、日本オラクルの社長就任直後の会見でもクラウド事業を軸にした戦略を発表した。本稿の前編でも取り上げた通り、その戦略の中心にクラウドを据えている点は明らかだ。

 ただし、日本に限らず全世界におけるOracleの事業はデータベースを根幹として発展してきた。三澤氏は日本IBMに移籍するまでの21年間の長きにわたって日本オラクルに在籍し、その変化を見守ってきた人物でもある。技術から刷新し、自律型の機能を備えたデータベースで、今後の日本市場に何をもたらそうというのか。クラウド事業に焦点を当てた前編に続けてお届けする。

「クラウドネイティブ」だからこそ生きるデータベースのメリットとは

 Oracleがデータベース「Oracle Database」の進化系として自律型データベース「Oracle Autonomous Database」(以下、Autonomous Database)を発表したのは2017年のことだ。続く2018年に発表した「Gen2(第2世代) Cloud」と同じく、AIベースの自動化機能で運用する“自律性”でユーザーの人為的ミスを防ぎ、運用の負担を軽減し、データ活用を加速できといったメリットを、同社は当初からアピールしてきた。2019年には、ラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)自ら年次イベント「Oracle OpenWorld 2019」で、Autonomous DatabaseとGen2 Cloudの機能を一部無料で全世界に一斉に提供する「Oracle Free Tier」を発表し、反響を呼んだ。

 当時日本オラクルのCEOを務めていたケネス・ヨハンセン氏も認めた通り、その背景にはユーザー層を拡大する狙いがある。主なユーザー層である企業のエンジニアだけでなく、IT部門や情報システム部門に勤務しつつ個人的にデータベースに興味を持つ従業員やエンジニアリングを学ぶ学生など、いわゆる未来のユーザーに幅広く最新の機能に触れてもらい、コミュニティーを拡大したいという意図があった。

日本オラクルの三澤智光社長

 2021年、三澤氏が率いるようになった日本オラクルも、上述した「ユーザーへの思い」を引き継ぎ、エンジニアに向けたOracle Databaseの啓発に積極的な姿勢を見せる。中でも注目するのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業に関わるような現場でクラウドネイティブなアプリケーション開発に取り組むエンジニアに向けたアプローチだ

 中でも三澤氏は、さまざまなタイプのデータを単一のデータベースで扱える「コンバージドデーターベース」としてのメリットと、インフラ環境の変化に耐えるコンテナ環境を使った開発へのメリットに注目しているという。

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