企業のデータ戦略を推進する「CDO」は、CFOが担え――専門家が主張する理由はWeekly Memo(1/2 ページ)

企業がDXを推進する上で重要な役割を担う「CDO(最高データ責任者)」。アクセンチュアは独自調査の結果を基に「CDOはCFOが担うべき」と主張する。なぜか。そのアプローチとともに考察したい。

» 2021年03月01日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

 「企業のCDO(最高データ責任者)はCFO(最高財務責任者)が担うべきだ」――。こう主張するのは、アクセンチュアの山路 篤氏(ビジネスコンサルティング本部 Enterprise Valueマネジメントプラクティス 日本統括マネジングディレクター)だ。同社が2021年2月24日に「デジタル時代のCFOの役割」と題してオンラインで記者説明会を開催した際の発言である。

Photo アクセンチュアの山路篤氏(ビジネスコンサルティング本部Enterprise Valueマネジメントプラクティス日本統括マネジングディレクター)

 CDOは、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、全社のデータを統括し、活用する責任者だ。その役割をCFOが担うべき理由は何か。聞いてみると、データ活用を重視した企業の在り方にも通じる話だったので、ぜひともここで紹介したい。

デジタル化の進展でCFOの役割に起こった変化

 「CFOがCDOを担え」と主張した山路氏の話の根拠となったのは、Accentureが2021年2月9日に発表した独自のグローバル調査レポート「CFO Now」だ。売上高10億ドル以上のグローバル企業のCFO1300人超を対象に、2020年4月から6月にかけて調査を実施した。その結果から「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に加え、デジタル化の急速な進展や、急速な市況や消費者の期待の変化などの外的要因により、CFOの役割が飛躍的に拡大している」ことが判明した。

 図1に示したのが、調査結果の概要だ。さまざまな結果から、この調査レポートはCFOの役割として、予測的示唆に注力して経理、財務部門をリードする「経理・財務の守り役」、他の経営層と連携して戦略的変革を推進する「事業価値のアーキテクト」、価値を創出しデジタル戦略の中心的な存在となる「デジタル戦略の媒介者」の3つを挙げている。

Photo 図1 グローバル調査レポート「CFO Now」の概要(出典:アクセンチュア)

 こうした結果を踏まえ、山路氏は特に今回の調査対象のおよそ半数を占める高成長企業(業績が前年比で計画値を上回っている企業)のCFOがテクノロジーを活用してどのような取り組みを行っているのかといった観点から、図2に示すように「全社のデータの統合」「分析へのテクノロジー活用」「事業判断への介入」といった3つの動きに着目した。これらの取り組みによって、データを武器に経理部門が事業判断にまで介入する「データ駆動型経営管理モデル」の構築を目指す方向性を示した。

Photo 図2 高成長企業のCFOによるテクノロジー活用の取り組み(出典:アクセンチュア)
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