DXレポート2が提言 企業が取るべき超短期〜中長期のアクションとは何か?DXレポート2をかみ砕く

短期連載「DXレポート2をかみ砕く」の第2回は、企業が取るべき超短期〜中長期のアクションについて紹介する。自社のDX推進進捗に併せて適切なアクションの選択が求められる。順を追って見ていこう。

» 2021年04月01日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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 企業は「2025年の崖」に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)をどのように推進していけばいいのだろうか。本稿は、経済産業省(以下、経産省)が、2020年12月28日に公開した「DXレポート2(中間取りまとめ)」(以下、DXレポート2)の概要を未読の方や内容を振り返りたいという方に向けてまとめる。

 第1回は「DXレポート公表以降のDX政策とその結果」「コロナ禍で見られた事象と、明らかになったDXの本質」について解説した。第2回は、いよいよ本題である「企業が取るべきアクション」を同レポートがどう取り上げたか紹介していこう。

DXの推進に向けて、企業が取るべき超短期的アクションとは

 DXレポート2は、企業の置かれた状況に応じ、DX推進に向けたアクションを「超短期的」「短期的」「中長期的」の3つに大別して紹介する。このうち超短期的アクションは、コロナ禍における従業員や顧客の安全確保と事業継続の両立といった喫緊の課題に対応するものだ。経営トップのリーダーシップの下、製品やサービスのスピーディーな導入と活用を求められるという。

 DXレポート2は、コロナ禍に適応するためのアクションとして以下の4つを挙げた。こうしたITツールの導入は企業文化の変革を進めていく上でのファーストステップになる。

1.業務環境のオンライン化

 まず検討すべきアクションとしては、オンライン業務の実現に向けたテレワーク環境の構築やオンライン会議システムの導入が挙げられる。これらは社外を含めた多様な人材とのコラボレーションのインフラとしても機能する。

2.業務プロセスのデジタル化

 テレワーク環境などの導入に加えて個別業務のオンライン化も重要だ。DXレポート2では、業務に必要な情報の電子化や業務を支援するサービスの導入を挙げる。具体的には以下の通りだ。

  • OCR製品を用いた紙の書類の電子化
  • クラウドストレージを用いたペーパレス化
  • 営業活動のデジタル化
  • SaaSを用いた業務のデジタル化
  • RPAを用いた定型業務の自動化
  • オンラインバンキングツールの導入

3.従業員の安全や健康管理のデジタル化

 遠隔で従業員の安全や健康管理を確保する製品やサービスの導入も必要だ。「活動量計などを用いた現場作業員の安全や健康管理」「人流の可視化による安心や安全かつ効率的な労働環境の整備」「パルス調査ツールを用いた従業員の不調や異常の早期発見」が挙がる。

4.顧客接点のデジタル化

 自社の製品やサービスにおける顧客接点のデジタル化も対応を急ぐ必要がある。こうした施策は、実店舗の代替や遠隔地の顧客との接点、データを活用した製品やサービスのフィードバックなどさまざまな変革の起点となる。具体的には「電子商取引プラットフォームによるECサイトの開設」「チャットbotなどによる電話応対業務の自動化やオンライン化」が挙がる。

 DXレポート2は、「これらのITツールの導入が完了したからといって、DXが達成されるわけではないことにも十分に留意する必要がある。施策を短期的および中長期的対応の取組みに発展させるべきだ」と説明する。

DX推進に向けた3つの短期的対応とは

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