「データサイエンティストではないがビジネスのゴールならよく分かる」――。そんな人材がデータドリブンなビジネス環境で担う役割がアナリティクストランスレーターだという。SASが考える新たな人材とその役割を聞いた。
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DX推進の鍵になるのがビジネス課題を定義し解決のためのデータ活用の道をひらくものとして、今後、企業に広く求められるスキルの一つが「アナリティクストランスレーター」だ。
その具体的役割と意義を、アナリティクス製品を手掛けるSASの人材育成スペシャリストである青木英隆氏(コンサルティングサービス統括本部 Advanced Analytics & AI Innovation本部マネージャー)に聞いた。
アナリティクストランスレーター(*1)という言葉は日本ではまだなじみがないが、一説には2026年までに米国だけで200〜400万人ものアナリティクストランスレーターが必要になると言われている(*2)。青木氏によると「日本においても、今後、少なくとも1社に1人はアナリティクストランスレーターが必要になる時期が来ると考えられている」という。全国1万社の大企業に1人ずつとしても1万人、より現実的にはその10倍程度はアナリティクストランスレーターが必要になるだろう。
*1:本取材における「アナリティクストランスレーター」は、「仮説検証型分析のスキルが高く、統計解析やモデリング概要の知識がある人材」を指す。その役割は、仮説を基にビジネスリーダー提起の問題を明確化し、必要に応じてデータサイエンティストに明確なテーマの支援を依頼できる「ハブ人材」である。記事中、人材の役割が類似でかつ適切に役割を示す目的で、McKinsey & Companyが提唱するアナリティクストランスレーターという用語を流用するが、本稿でのアナリティクストランスレーターはSASの定義による。このため、McKinsey & Companyの定義とは必ずしも一致するものではない。なお、アナリティクストランスレーターに相当する役割は、ビジネストランスレーターとも呼ばれる。
*2:Nicolaus Henke, Jordan Levine, and Paul McInerney, You Don't Have to Be a Data Scientist to Fill This Must-Have Analytics Role,Harvard Business Review,Feb 2018.
なぜそこまで重要視されるのかは、その役割を知れば納得できるはずだ。以下に、アナリティクストランスレーターの役割について説明していく。
企業がDX推進を目的に本格的なデータ活用を図る際は、データ活用のための専門組織がリアルもしくはバーチャルで必要だ。一例として複数の部門を持つ事業会社で、全社横断のデータ活用組織を設置した場合を想定してみると、組織のミッションは次の2つが挙げられる。
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