消費者が必要な日用品をオンラインで購入し、戸口まで配達してもらう――、そんな買い物のニーズがコロナ禍で成長している。消費者のニーズに応えたいスーパーや食料品店向けに、米国で成長中のオンライン買い物代行サービス「Instacart」がロボティクス企業と一緒に在庫管理ソリューションを共創すると発表した。その中身と今後の可能性は。
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米国でスーパーのオンライン買い物代行、配達サービス「Instacart」を展開するInstacartは2021年7月、米国とカナダのスーパーマーケットや小売企業向けに、自動在庫管理サービスを提供する計画を発表した。eコマース向けのロボティクス技術や自動化ソリューションを手掛けるFabricとパートナーシップ契約を締結し、数年にわたって協業する。
InstacartはCostcoやKrogerといったスーパーマーケットや量販店チェーンと提携し、専用のアプリケーションで彼らの商品を展開する。消費者が指定した店で注文した商品の買い物を、同じくアプリケーションに登録した「Shopper」と呼ばれるギグワーカーが代行し、指定の時間に配達する仕組みだ。「Uber Eats」と同じく、いわゆるギグエコノミーを利用したサービスといえる。
InstacartとFabricによる新たなサービスは、Fabricのソフトウェアとロボティクス技術をInstacartの技術やギグワーカーによる買い物代行の仕組みと統合し、複数の倉庫や店舗をまたいだ在庫利用に生かすという。Instacartは、同サービスを利用する小売事業者を2022年中に発表する予定だとしている。
今回の発表は、Instacartが従来の店舗ベースの在庫利用を変える最初の動きであり、同社にとって大きな一歩となる。その背景には、オンラインショッピングがコロナ禍以前のレベルを大きく超えて成長し続けている現実がある。
「Instacartが在庫管理の技術を扱う複数の企業に提携を持ち掛けているらしい」という話は広まっていたが、同社は今回初めてその事実を認めた。(出典1)
注文処理サービスにロボティクス技術を導入することは、Instacartにとって重要な施策だ。コロナ禍によって日用品のオンラインショッピング需要が急増したため、全ての注文の緊急度が高まった。ギグワーカーを店舗に送るという従来のモデルを継続する小売業者は多いが、受注量が多い場合は非効率的だ。緑色のTシャツを着たInstacartのギグワーカーで、スーパーの通路やレジの行列が混み合ってしまう可能性がある。
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