米Target「伝説のCIO」勇退の報にGartnerアナリストが語った「未来の百貨店」の姿Supply Chain Dive

TargetのCIOマクナマラ氏は7年間にわたって同社のデジタル戦略をいかに強化したか。新CIOが取り組むべきポイントとは。

» 2021年11月15日 07時04分 公開
[Roberto TorresSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 約4000万件の情報漏えい事件を起こしてぼろぼろだった米国小売TargetのIT部門を立て直し、コロナ禍にデジタル部門の売り上げを急成長させた敏腕CIOが引退する。彼が成し遂げた成果を振り返り、それを引き継ぐ次のCIOが「未来の百貨店」を実現するために手掛けるべき施策についてのアナリストの見解を紹介する。

 米国小売大手Targetが2021年9月1日に提出されたSEC Filing(米国法人の年次報告書)によれば、同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者)であるマイク・マクナマラ氏が2022年に引退する。同氏は2015年からTargetのIT部門を率いてきた。

 マクナマラ氏は、「私が引退し、新しいCIOへの移管を開始するタイミングとしては最適だ」と引退を発表するブログ投稿で語った。「テクノロジーチームとプラットフォームは素晴らしい状態にあり、当社のビジネスは既に次の成長に向けて歩を進めている」

 Targetは新しいCIOの選任について、「社内および社外の両方で徹底的に調査して候補を選ぶ」とCIO Diveへの電子メールで伝えた。マクナマラ氏は後継者が任命され、指導的役割を担うようになるまでCIOを続けるという。

「ばかげている」ほど巨大だったIT部門

 マクナマラ氏のリーダーシップによって、Targetは(ECからの購入などの)顧客の新しい消費習慣に合わせて事業規模を拡大しながら混乱を乗り越えることができた。

 2020年の会計年度に同社のデジタル部門の既存店売上高は145%増加した。「Order Pick Up」や「Drive Up」といった、テクノロジーを生かした即日対応サービスが235%成長したことがけん引した結果だ。

 2013年に4000万件以上の顧客のデビットカードとクレジットカードの情報漏えい事件が発生したことを受け、対策や復旧作業に追われる状況だった。膨れ上がった技術者も、状況の複雑さを増す要因となっていた。

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