現場から経営陣まで、ごく自然にデータを活用し、判断に生かせる文化を作りたい――。多くの企業が悩むデータドリブンな組織作りに自然な形で挑んでいたというのがSUBARU 航空宇宙カンパニーだ。1人の“熱い思い”に自然と周囲が共鳴したというが、それは一体何だったのか。
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企業がデータドリブンな体制に生まれ変わるには、組織のあらゆる従業員のデータリテラシーを向上させ、データ活用の文化を定着させる必要がある。これを実現するには、どのような戦略が必要だろうか。
本連載「ゼロから作るデータドリブン組織への道」は、ITmedia エンタープライズ編集部とデータ活用ソリューションを手掛けるクリックテック・ジャパンが協力し、インタビューや事例からデータドリブンな組織の実現に向けた戦略を探る。
日本でデータドリブン組織の構築に取り組む企業の1社が、航空機や宇宙関連機器の開発、製造を手掛けるSUBARU 航空宇宙カンパニーだ。同社は「来る者拒まず、去る者追わず」のスタンスを保ちながら従業員の間にデータ活用を積極的に進めるネットワーク組織「ICTリーダー会」を立ち上げ、データ活用の文化を広げている。その手法として本連載の第1話や第2話では「トップダウン」が上がったが、SUBARU 航空宇宙カンパニーでは一味違う戦略を採用している。
同社は実際にどのような戦略や目標を設定し、具体的な取り組みを進めているのか。同社の和田 治氏(情報システム部 部長)と野中剛志氏(航空宇宙カンパニー 担当部長 兼 製造部 担当部長)にお話を伺った。
――今井(以下省略):まずはお2人のこれまでのご経験と、現在担当している業務について教えてください。
和田氏(以下敬称略):1996年にSUBARUに入社し、16年間ほど技術部門でドローンのプログラム作成やシステム設計などに携わりました。その後は資材部、技術の予算管理、生産計画部門などを経て、2021年4月に航空宇宙カンパニーの情報システム部部長になりました。資材や生産計画部門ではデータドリブンで業務を進める必要があり、その頃からデータの可視化に取り組んできました。
野中氏(以下敬称略):私は航空宇宙カンパニーのカンパニー担当部長として、生産性向上に向けた取り組み全般を見ています。2019年からは製造部の担当部長も兼務しています。製造部の前は、情報システム部の部長も2年ほど務めました。2012年頃にカンパニーでの改革活動を立ち上げ、その一環でQlikのBIツールを導入しました。
――SUBARU航空宇宙カンパニーでは、どのような体制でデータ活用に取り組んでいるのでしょうか。
和田:情報システム部が運営する「ICTリーダー会」に、部門を超えた有志が60人程度集まって進めています。これは非常に「緩やかなチーム」で、毎月1回の会合に20〜30人のメンバーが自主的に参加し、セルフBIを使ってそれぞれの部門用にデータ活用アプリケーションを開発しています。
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