インタビュー
» 2022年01月12日 07時00分 公開

ユニリーバが「サステナブルな働き方」で目指すもの【前編】社員のウェルビーイングと企業の成長は両立するか(1/2 ページ)

コロナ禍以前に画一的な働き方から脱したユニリーバが取り組む「新しい働き方」とは何か。同社が目指す企業像と、社員の働き方との関係を探る。

[田中広美,ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 コロナ禍を機に、社員全員がオフィスで始業時間から終業時間まで会社の管理のもと働く画一的な働き方から、テレワークをはじめとする「新しい働き方」に移行する企業は少なくない。一方で、「もうこりごり」と言わんばかりに「全員出社」に戻る企業もまた少なくない(「企業体質に合う『日本型テレワーク』とは 総務省が提言書を公開)。

 貴社にふさわしいのはこれまでの画一的な働き方だろうか。それとも社員が多様な場所や時間で働くことを認める新しい働き方だろうか。これについて考える上で、ユニリーバ・ジャパンの取り組みが参考になるかもしれない。

 食品や洗剤などを扱うグローバル企業の日本法人ユニリーバ・ジャパン(以下、ユニリーバ)は、2016年から働く場所や時間を社員が自由に選べる働き方「WAA」(Work from Anywhere and Anytime) を導入した。2019年には提携自治体で働いたり地域活動に参加したりできるユニリーバ式ワーケーション「地域 de WAA」、2020年には社外から副業人材を募集する「WAAP」など、先進的な人事制度を採用する。

 同社が先進的な人事制度を導入する狙いは何か。また、新しい働き方を実践する中でどのような課題が浮上したのか。

 自身もワーケーションや副業を実践するユニリーバの人事マネジャー/EX(Employee Experience)岡田 美紀子氏に話を聞いた。前編となる本稿では同社がいち早く「新しい働き方」を導入した背景や制度が定着に至った理由について、後編ではワーケーションや副業が企業と社員の関係に与える影響と、同社の人事領域におけるDXの現状を聞いた。

コロナ禍前から「新しい働き方」を始めた理由とは

 「WAAを導入する前提となったのが、ユニリーバが掲げるPurpose(パーパス)だ」と岡田氏は話し始めた(以下、断りのない会話文は全て岡田氏の発言)。

 パーパスとは企業が何のために存在するのかという目的、存在意義を指す。「当社は英国で『清潔さを暮らしの“あたりまえ”に』を目標にせっけんを製造、販売するところからスタートした。近年は、『サステナビリティ(持続可能性)を暮らしの“あたりまえ”に』をパーパスとして掲げている。WAAはその延長線上にある」

ユニリーバの人事マネジャー/EX(Employee Experience)岡田 美紀子氏 ユニリーバの人事マネジャー/EX(Employee Experience)岡田 美紀子氏

 WAAは社員が働く場所と時間を自由に選ぶことができる制度だ。同社では、工場や対外的な対応が必要な営業関連の部署以外に所属する社員と再雇用の契約社員以外の社員がWAAの対象となる。

 当然、深夜時間帯の労働や総労働時間の上限は労働基準法に基づいて制限されるが、働く時間帯は早朝5時からフレキシブルに選ぶことが可能だ。「導入当初は朝6時から始業可能としていたが、子育て世代から『もっと早い時間から稼働したい』という声が上がって5時に変更した」

 朝型の人、夜型の人、日中にジムで汗を流す人――社員は自身の生活スタイルに合わせて働く時間帯を選ぶ。ユニークなのは、1日の最低労働時間についての規定がないことだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Digital Native Leaders

注目のテーマ