なぜDXとサステナビリティを「分けて考えてはならない」のか――SAP、Oracle、富士通の見解から探るWeekly Memo(1/2 ページ)

企業の重要な経営課題として挙げられるサステナビリティとDXは別個のものと考えられがちだが、望ましい関係とはどのような形か。SAPやOracle、富士通の見解から探る。

» 2022年07月19日 14時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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 企業の重要な経営課題として、サステナビリティ(持続可能性)への対応が声高に叫ばれるようになり、サステナビリティ経営への取り組みを発表する企業が増加している。こうした動きに対して筆者が気掛かりなのは、企業の重要な経営課題であるDX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティを別個に考える風潮があることだ。果たして、企業経営におけるサステナビリティとDXの関係はどのような形が望ましいのか。

 SAPやOracle、富士通が最近開いたイベントや記者説明会で明らかにした考え方や取り組みから探る。

SAPが説く「インテリジェント・サステナビリティ・エンタープライズ」の役割

 まずは、SAPが2022年5月から世界9都市で開催中のワールドツアーの一環として2022年7月12日に都内ホテルで開催した年次イベント「SAP Sapphire Tokyo」の基調講演から、SAPのポール・マリオット氏(Asia Pacific Japanプレジデント)、ルカ・ムチッチ氏(CFO=最高財務責任者)、SAPジャパンの鈴木洋史氏(社長)の発言を紹介しよう。

右からSAPのポール・マリオット氏(Asia Pacific Japanプレジデント)、SAPジャパンの鈴木洋史氏(社長)

 「企業は今後に備えて3つの取り組みに注力する必要がある。一つ目はDX、デジタルテクノロジーを経営の中核に据えることだ。二つ目はビジネスネットワーク、つまりサプライチェーンの透明性を確保して強化し、ビジネスのレジリエンスを高めることだ。三つ目はサステナビリティ、つまり企業経営にサステナビリティを取り込むことだ」(マリオット氏)

「DX」「ビジネスネットワーク」「サステナビリティ」への注力を訴求(「SAP Sapphire Tokyo」の基調講演から)

 「日本がさまざまな社会課題に直面する今、それらの解決に向けて全ての企業がサステナビリティに取り組む必要がある。企業は収益向上を図るだけでなく、環境や社会、そして従業員に対してもさまざまな責任を果たさなければならない」(鈴木氏)

 「21世紀の私たちの社会にとってサステナビリティこそが最大の課題だ。それは同時に企業にとって大きなビジネスチャンスにもなり得る」(ムチッチ氏)

SAPのルカ・ムチッチ氏(CFO)

 マリオット氏が挙げた「DX」「ビジネスネットワーク」「サステナビリティ」の3つは並行して進めるべき取り組みだ。鈴木氏がサステナビリティの取り組みとして、従業員エンゲージメントを挙げたのが注目される。ムチッチ氏の「サステナビリティはビジネスチャンス」との発言は、CFOである同氏が発信したところにSAPの経営姿勢が感じ取れた。

 では、企業におけるサステナビリティとDXの取り組みを、SAPはどのように支援するのか。支援策のキーワードとなるのが「インテリジェント・サステナビリティ・エンタープライズ」だ。

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