勤務シフト作成時間を「5割超」短縮 日立らが量子コンピューティングを応用

KDDIエボルバとKDDI、日立製作所は量子コンピューティング関連技術を活用してスタッフの勤務シフトを自動作成し、実勤務へ適用する実証を実施した。シフト作成にかかる時間を5割超短縮できることを確認したとしている。

[山口哲弘，ITmedia]

　KDDIエボルバとKDDI、日立製作所（以下、日立）の3社は2022年8月26日、量子コンピューティング関連技術（注1）を活用してスタッフの勤務シフトを自動作成し、実勤務へ適用する実証を実施したと発表した。

従来ツールの“弱点”を克服し、複雑な条件を踏まえてシフトを作成

　KDDIエボルバは、コンタクトセンターを中心に、ビジネスプロセスアウトソーシング事業を展開している。同社はこれまで、勤務シフトを作成する専門の管理者が、20以上ある勤務条件を踏まえて勤務シフトを手作業で作成してきた。

　勤務シフトを作成するにはスタッフの契約条件や勤務条件、時間帯ごとの必要人員数の調整、スキル平準化など複雑な条件を満たす必要がある。約100人のスタッフの勤務シフトを作成するのに、熟練した管理者でも11時間以上かかっていた。

　一般的な勤務シフト作成ツールでは、必要人員数の調整はできるものの、勤務条件を十分に満たすことが難しく、人手による修正が必要だったため、全体工数がかえって増えることもあるという。KDDIエボルバが一般的な勤務シフト作成ツールで100人規模のシフトを作成した際は、修正作業やスタッフとの調整を含めて20時間かかったという。このツールで作成したシフトには、特定のスタッフの勤務時間帯が偏るという課題もあった。

　今回の実証は、こうしたシフト作成時の課題を解決し、業務を率化できることを確認することを目的とした。