マッキンゼーが「アプライドAI」拡大を予想 企業に待ち構える「AIの悪影響」CIO Dive

「アプライドAI」への投資は今後ますます拡大するとの予想が発表された。あらゆる業務にAIが使われる中、懸念されているのは「AIの悪影響」だ。

» 2022年09月16日 08時30分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 リーダーシップ構造の形成からROIの実現に至るまで、企業はAI導入プロジェクトの展開を成功させたいと考えている。しかし、不良データの問題や倫理的懸念および人材不足が障壁になっている企業もある。

 2022年8月に発表されたMcKinsey Technology Councilのレポートによれば(注1)、ML(機械学習)、コンピュータービジョン、自然言語処理などを含むアプライドAI(応用AI)に対する投資は、2018〜2021年にかけて約150%成長した。2018年に企業はアプライドAIに660億ドルを費やしており、2021年には1650億ドルに拡大した。

 AIの導入率が最も高い業務は、製品開発やサービス開発、サービス業務、マーケティングおよび販売だと同社は伝えている。報告書の作成に当たり、McKinseyは検索エンジンのクエリ、ニュース出版物、特許、研究出版物、投資などに基づくデータを収集した。

 AIを導入した結果、企業はコスト削減と収益増加を実現した。しかし、企業は依然として、人材やリソースへの高額な先行投資、サイバーセキュリティやプライバシーに関する懸念、規制の強化、コンプライアンス、倫理問題に悩まされている。

拡大するCDOの役割、AIの悪影響リスク

 AIを導入する企業は、ビジネスプロセスの最適化を期待している。業界を問わず、AIはより広く採用され、展開されるようになった。金融サービスの「Truist」からレストラン分野の「Panera Bread」まで、AIは企業の戦略実行に役立っている。AIは経営や目標管理においても非常に重要な要素となっており、企業がどのようにリーダーシップ構造を形成するかにまで影響を及ぼしている。影響力を増したAIを企業はコントロールし続けられるのだろうか。

 2017年にシニアバイスプレジデント兼最高データ責任者(Chief Data Officer)としてIntuitに加わったアショク・スリバスタヴァ(Ashok Srivastava)氏の主な仕事は、AIチームを立ち上げることだった。AIを重視したのは、会社の未来がAIの正しい活用にかかっていると感じたからだという。

 「会社が私にCDOの肩書を与えたのは、データが今後の事業運営に不可欠になることを知っていたからだ」とスリバスタヴァ氏は言う。

 Levi'sは最近、Eコマースの注文に対してより良いサービスを提供するために、フルフィルメントネットワーク全体にAIを導入すると発表した。Intuitと同様に、同社はデータアナリティクスおよびAIのグローバル責任者であるルイス・ディセサリ(Louis DiCesari)氏の下で、データとAIモデルを管理している。

 企業のAIへの期待の高さをは裏腹に、成功は保証されていない。AIの恩恵を受けるにはデータソーシングが不可欠だ。2022年8月月初めに実施されたある調査で、企業のリーダーはAI予算の半分以上をデータソーシングと準備段階に使っていることが明らかになった。

 不良データはAIモデルを壊すだけでなく、バイアスによって顧客の信頼や収益を低下させる可能性がある。AIを取り巻く倫理的な懸念は新しいものではないが、より多くの企業がAIプロジェクトを計画し、採用するようになると、そのリスクを無視できなくなるだろう。

 2022年初めのDataRobotによる調査では(注2)、テクノロジーリーダーの3分の1以上が「AIアルゴリズムのバイアスによって自社にマイナスの影響がある」と回答している。

(初出)「Applied AI investments shot up 150% in 3 years: McKinsey」(CIO Dive)

(注1)「McKinsey Technology Trends Outlook 2022」(Mckinsey、PDF)
(注2)「State of AI Bias」(DataRobot)



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