持続可能性の優先順位が「爆上がり」 ITリーダーはその技術的問題にどう対処すべき?CIO Dive

持続可能性の企業における優先度が急上昇する中、ITリーダーにとって持続可能性は技術の問題でもある。BoeingやIBMのITリーダーがCO2排出量を削減するために支持する技術とは。

» 2022年09月21日 10時40分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 CO2(二酸化炭素)排出や環境悪化など多岐にわたる持続可能性(サステナビリティ)の問題が多くの企業の経営幹部にとって優先課題になりつつある。ITリーダーは、持続可能性の議論に加わるだけでなく、潜在的な解決策も任されることになる。企業のITリーダーにとって持続可能性は技術の問題でもある。

 クラウドへの移行は、すでにCO2排出量の大幅な削減を可能にする道を開いている。2020年にコンサルティング会社のAccentureとThe University of North Carolina at Greensboro(UNCG)が実施した調査によると(注1)、パブリッククラウドはIT運用全体から排出されるCO2を世界全体で5.9%削減し、ITから排出されるCO2を年間で6000万トン削減することが分かった。

ついにトップ10入りした持続可能性

 Accentureが2022年6月に多国籍企業500社を対象に実施した調査によると、7割が排出量削減のためにAI(人工知能)を導入している。そのうち75%が、CO2使用量の測定と効果的な開示のためにAIを利用していることが明らかになった。

 こうした成果を背景に企業経営者や取締役会、その他のステークホルダーは持続可能性を行動項目の上位に位置付けている。この動きは世論からの圧力の高まりや政府の規制措置、天候による操業中断の現実が要因となって推し進められている。

 エネルギーコストの高騰と、より効率的なエネルギーから得られる収益の見込みが相まって、重要な動機付けになる可能性もある。

 IBMのCIO(最高情報責任者)であるキャサリン・グアリニ氏は、CIO Diveのインタビューで次のように述べた。「多くのビジネスリーダーにとって持続可能性が、今、最重要課題であることは間違いない。従業員や顧客、投資家、規制当局が持続可能性について質問し、関心を寄せている。企業全体で注目度と優先度が高まっている」

 実際、Gartnerが2022年5月に400人の最高経営責任者を対象に実施した調査によれば(注2)、CEO(最高経営責任者)のビジネス優先事項のトップ10に環境問題がランクインしている。持続可能性は2019年の14位、2015年の10位から8位に急上昇して初めてトップ10入りした。

企業が持続可能性を高めるために導入する「クラウド以外の技術」

 グリーンゲイン(環境に配慮した製品)にはさまざまな形とサイズがあり、まだ改善の余地がある。

 ソフトウェア会社のCirrus Nexusの共同設立者でCEOを務めるクリス・ノーブル氏は「クラウドはエネルギー効率の向上に大きな変化をもたらした」と述べる。「クラウドは密度が高く、ハードウェアを共有しているので効率的であることは間違いない。しかし、CO2の発生を防いでいるわけではない」(ノーブル氏)

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